物流センターとは|仕事内容・役割を解説|物流倉庫との違いも
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最終更新日:2023/05/18
ファッション物流
さまざまな製品の保管や輸送や配送の拠点ともなる物流センターは、円滑な物流業務のために不可欠な存在です。
本記事では、物流センターが担う役割を解説するとともに、そこで働くスタッフの仕事内容、混同されがちな物流倉庫との違い、物流センターの種類などもあわせて紹介します。
Contents
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物流センターとは
物流センターとは、一言でいえば高度な物流作業にも対応した物流拠点・施設のことを指します。
そもそも物流業務のなかには、製品の輸送や保管、配送だけでなく、流通加工や情報管理といったものも含まれます。
物流センターは、これら一連の物流業務を効率的に行うための施設であると同時に、物流ネットワークの要ともなる場所です。
最適化された物流ネットワークの構築や物流コストの削減、環境負荷の軽減などを実現し、企業の競争力を高めるために重要な役割を果たしています。
物流センターの役割
上記でも一部を紹介しましたが、物流センターには具体的にどういった役割があるのでしょうか。
5つの項目に分けて解説します。
保管
物流センターでは、複数のメーカーや仕入れ先から届く製品や資材を受け取り、一元的に保管する役割があります。
これにより、効率的な配送や在庫管理を実現しています。
また、単に荷物を置いておくだけでなく、適切な温度・湿度管理や防災対策が施されており、商品の品質を維持しながら安全に保管できることも物流センターには求められます。
特に、生鮮食品やアパレル製品、精密機械などの保管にあたっては、適切な温度や湿度を管理していないと腐食やカビの発生、破損の原因になることもあります。
輸送・配送
物流センターでは、出荷先に合わせて製品や資材を仕分けし、効率的な輸送・配送ルートを計画して荷物を運ぶ役割も果たします。
「輸送」とは物流拠点間を移動することを指し、各拠点から配送先まで荷物を運ぶことを「配送」といいます。
主な輸送・配送手段としてトラックが用いられることが多く、適切な配送スケジュールの計画をすることによって輸送・配送コストの削減にも貢献します。
荷役
荷役とは、荷物を物流センターへ入庫したり、出庫したりすること、およびそのための関連作業を意味します。
たとえば、入庫の際にはトラックから荷物を積み下ろし、出庫する際には荷物を積載する作業があります。
また、荷物の出庫にあたっては、保管場所から指定の荷物を正確にピックアップし、配送先ごとに仕分けもしなければなりません。
このようなピッキングの作業や仕分けの作業も荷役にあたり、物流センター内では多くのスタッフが荷役作業に従事しています。
流通加工
流通加工とは、主にラベルの貼り付けや付け替え作業、製品の小分け・梱包作業、製品の簡単な補修業務などを指します。
一部の物流センターでは、このような流通加工業務を行っているところもあります。
流通加工へ対応することにより、製品の出荷時点での品質管理を徹底したり、顧客への迅速な対応も可能となります。
情報管理
物流センターでは、製品や資材の入出庫情報や在庫状況をリアルタイムで管理し、企業や顧客と共有することもできます。
たとえば、ECサイトの運営にあたっては、リアルタイムで在庫状況を反映しなければなりません。
しかし、従来のような紙による在庫管理では入出庫情報がリアルタイムで反映できず、タイムラグが生じることがあります。
その結果、顧客がオーダーしたにもかかわらず、在庫切れが発生しクレームにつながることも考えられるでしょう。
在庫管理をシステム化することでリアルタイム性の高い情報管理が実現でき、効率的な物流プロセスを構築できます。
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物流センターと物流倉庫の違い
物流センターと似た役割をもっている物流倉庫という施設もあります。
施設の外見を見ても大きな違いはなく、両者は同じような存在と認識されることも少なくありません。
しかし、物流センターと物流倉庫は求められる役割が異なり、それぞれの違いを認識しておくことが大切です。
まず、上記でも紹介したように、物流センターは物流ネットワーク全体を考慮した効率的な物流業務のプロセスを担っています。
荷物の入庫から配送までの機能を持ち、流通加工や情報管理といった役割にも対応できるのが特徴です。
これに対し、物流倉庫は主に保管を目的とした施設です。
荷物の管理や配送、加工業務に関わることが少なく、在庫の保管に特化していることが大きな特徴として見られます。
そのため、流通加工や情報管理、荷物の配送業務は限定的であることが多いのです。
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物流センターの種類
一口に物流センターといっても、機能や目的によってさまざまな種類に分類されます。
配送センター
配送センターとは、特定エリア内の配送先に対して荷物を配送したり、トラックによる輸送の拠点となったりする施設です。
複数の配送先へ荷物を届けるため多くのトラックが常駐しており、効率的な配送ルートの計画や配送スケジュールの管理が重視されます。
デポ
デポとは、主に小規模な物流拠点を指します。
配送センターのように大量の在庫が集約されることがなく、エンドユーザーに対して少量かつ高頻度の荷物の配送を実現するために設けられる施設です。
ディストリビューション・センター(DC)
ディストリビューション・センター(DC)とは、大量の在庫を保管するタイプの物流センターです。
メーカーや仕入先から大量の在庫を買い取って保管しておくことで迅速な発送が実現できます。
しかしその一方で、在庫リスクを負わなければならないことも事実です。
トランスファー・センター(TC)
トランスファー・センター(TC)とは、他の物流拠点や配送先に応じて荷物の積み替えや仕分けなどを担う施設です。
DCとは異なり、在庫を保管することが前提とされておらず、在庫中継地点としての役割が強いです。
TCは在庫リスクを抱える心配は少ないですが、効率的な輸送ルートを確保しておかないとリードタイムが長くなる可能性もあります。
プロセス・センター(PC)
プロセス・センター(PC)とは、商品の組み立てや梱包、ラベル貼り付けなどの流通加工業務を行う施設です。
工場や生産拠点に近い機能をもった物流センターともいえ、製品の出荷時点での品質管理や顧客への迅速な対応を可能にします。
生産立地型倉庫
生産立地型倉庫とは、工場や生産施設の近くに位置し、生産ラインから直接出荷される製品の保管に特化した物流センターです。
生産拠点から近いことで仕入れにかかる配送コストを抑えることができ、さらには仕入れにかかるリードタイムも短縮できる可能性があります。
消費立地型倉庫
消費立地型倉庫とは、主に小売店や物流拠点など、消費エリアに近い場所に設置される物流センターです。
生産立地型倉庫とは対極の立地ともいえ、顧客や小売店への配送に強みをもちます。
また、消費立地型倉庫はエンドユーザーに対する迅速な配送も実現でき、商品の仕分けや配送ルートの最適化、配送スケジュールの管理などが重要となります。
物流センターの仕事内容
物流センターにはさまざまな役割があると紹介しましたが、センター内で働くスタッフはどのような作業を行っているのでしょうか。
一連の物流プロセスに合わせて紹介します。
入荷・入荷時検品
入荷業務では、メーカーや仕入れ先から物流センターへ配送された製品を受け取ります。
それに合わせて入荷時検品も行い、届いた製品の数量や品質を確認し、入出庫管理システムや在庫管理システムなどへ登録します。
なお、入荷時検品で異常や問題が認められた場合には、メーカーや仕入れ先へ連絡し返送などの対応も行います。
保管
入荷した製品を物流センター内の適切な場所に在庫として保管します。
保管場所のルールは物流センターによって異なり、商品の特性や需要に応じて決定されることが多いです。
また、製品の保管場所は、効率的な在庫管理やピッキングなどが行えるよう配慮もされています。
ピッキング
ピッキングでは、出荷指示書や注文書をもとに在庫の中から製品をピックアップし、出荷の準備を行います。
ピッキングを誤ると注文とは異なる製品を発送することになり、クレーム対応に追われてしまいます。
効率的かつ正確な作業品質が求められるため、バーコードリーダーやピッキングカートなどの専用機器が使用されることがあります。
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流通加工
流通加工業務では、ラベルの貼り付けや貼り替え、セット商品の詰め合わせ、簡単な補修作業などに対応します。
たとえば、アパレル製品の場合は裾上げやボタン・ファスナーの補修、ほつれの補修なども流通加工に含まれます。
包装・梱包
ピッキングおよび流通加工が完了した製品を適切な包装材で包み、出荷の準備を整えます。
包装材は製品が汚れるのを防ぐだけでなく、輸送・配送中の破損を防ぐ目的もあります。
たとえば、精密機械などデリケートな製品を輸送する場合には、箱のなかで衝撃が加わらないよう緩衝材などを入れて梱包します。
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出荷時検品・出荷
出荷時の検品では、包装・梱包された商品の数量や品質を再度チェックし、出荷時に問題がないかを確認します。不備がある場合は、修正や再包装を行ったうえで発送します。
物流センターのメリット・デメリット
企業や小売事業者にとって、物流センターを活用することは多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
メリット
物流センターの主なメリットは以下の3点です。
在庫管理の適正化
物流センターでは一元的に在庫管理ができ、つねに適切な在庫レベルを維持しやすくなります。
保管スペースや保管コストの最適化が図れるほか、過剰在庫や品切れのリスクを減らすことにもつながります。
配送コストの削減
物流センターは単に在庫を保管するだけでなく、輸送や配送拠点としての役割もあります。
効率的な配送ルートを計画することで、配送コストを削減し自社の利益に貢献できるほか、配送リードタイムの短縮によって顧客満足度の向上も図れるでしょう。
競争力の強化
物流センターでは迅速な配送や対応が可能なだけでなく、流通加工や包装などの付加価値サービスも提供できます。
ギフトラッピングや裾上げ、ネーム入れなどの加工も可能なため、他社にはない強みを活かしながら競争力を高められるでしょう。
デメリット
上記とは対象的に、物流センターのデメリットとして考えられるのは以下の2点です。
運営コストが高くなる場合がある
物流センターの運営には、施設の設備投資や人件費、維持費など高いコストがかかります。
十分な費用対効果が得られなければ、運営コストばかりがかさんでしまい、企業によっては大きな負担となることがあります。
外部委託のリスク
物流センターの運営を自社ではなく外部業者に委託する場合も少なくありません。
そのような場合、品質管理や情報共有の問題が発生することがあります。
事前に綿密な打ち合わせや相談をしておかないと、適切な在庫管理ができておらず品質劣化を招いたりするケースも考えられます。
物流センターに向いている事業者の特徴
物流センターは、大量の製品在庫を効率的に管理・運用できるため、大規模な商品数を取り扱っている事業者に適しています。
また、広範囲な地域への配送を行う事業者にとっても、物流センターを構えることで効率的な配送ルートを計画でき、コスト削減にも役立つでしょう。
さらに、多種多様な商品を取り扱っているEC事業者にとっても、物流センターを構えることで一元的な在庫管理や効率的なピッキングを実現でき、スケーラブルな物流体制の構築に貢献できるでしょう。
物流センターの業務効率化のポイント
物流センターの業務効率化を実現するためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
作業の標準化・改善
業務プロセスや業務フローが確立されていないと、人によって作業効率がバラバラになってしまいます。
業務プロセスを標準化するとともに、業務にムリ・ムダがあればそれらを排除することで、スムーズな作業フローが確立できるでしょう。
適切な立地選定
物流センターの立地条件は、効率的な配送や輸送コストに影響します。
生産拠点からの距離や地域ごとの需要など条件が良い立地を選定することで、物流効率の向上が期待できるでしょう。
デジタル技術による自動化
データ管理や作業プロセスのデジタル化も業務効率化のポイントとなります。
たとえば、AGVやロボット、IoT、AIなどを活用したシステムやツールを活用できれば、効率的な作業や在庫管理が実現できるでしょう。
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物流センターに求められる役割はさまざまで、単に在庫を保管しておくだけでなく、輸送・配送拠点としての役割、そして流通加工の業務まで多岐にわたります。
特にアパレル製品やファッション小物、ジュエリー製品などは補修作業や商品タグの付け替え作業なども多く、流通加工の作業が不可欠です。
物流センターの選定にあたっては、立地条件はもちろんのこと、商材に合わせた業務にも対応できるかが大きなポイントとなります。
物流業務のノウハウがない企業にとっては、どのような基準で物流センターを選べば良いか分からないというケースも多いでしょう。
そこで、物流アウトソーシングの専門会社に相談してみることがおすすめです。
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まとめ
一口に物流センターといっても、配送センターやデポ、ディストリビューションセンターなどさまざまな種類があります。
また、取り扱う商材や事業規模などによっても最適な物流センターを選ぶことが重要です。
今回紹介したポイントを参考にしつつ、自社にとってどのような物流センターがマッチしているのか分からない場合には、物流アウトソーシングの専門会社へ相談してみることも検討してみましょう。
OTS PR
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