オムニチャネルとはどんな戦略?メリットを解説|成功事例も紹介
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最終更新日:2023/06/14
ファッション物流
実店舗での販売はもちろんのこと、ECサイトへの出品や自社サイトでのオンライン販売など、小売事業者にとっての販売ルートは多様化しています。また、顧客にとっても新商品やセールの情報を得るためには、チラシやカタログのほか、WebサイトやSNSといった方法も一般的になりつつあります。
このような背景もあり、現在ではオムニチャネルとよばれるマーケティング戦略が注目されています。
本記事では、オムニチャネルとはどういった戦略なのか、メリットやデメリットを紹介するとともに、オムニチャネルを理解するうえで参考にしておきたい成功事例も解説します。
Contents
オムニチャネルとは
「オムニ」とはラテン語で「全て」という意味を指す言葉です。
また、物流業界における「チャネル」とは、顧客との接点や販売経路といった意味を指し、具体的には実店舗やECサイト、商品サイト、カタログなどがそれにあたります。
すなわち、物流におけるオムニチャネルとは、販売や広告、カスタマーサービスのアプローチなどを統合し、さまざまなチャネル間で一貫した体験を顧客に提供するマーケティング戦略です。
オムニチャネルのアプローチでは、実店舗やオンラインストア、モバイルアプリ、カタログ、SNSなど、すべてのチャネルが相互に連携することが基本となります。これにより、顧客は特定の商品を欲しいと考えたときにすぐに購入に踏み切れるようになります。
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オムニチャネルが注目されている理由
近年、メーカーや小売業界ではオムニチャネルが注目されるようになりましたが、その背景にはどういった理由があるのでしょうか。
特に大きな要因とされているのが、インターネットの普及による情報収集の多様化です。従来、商品に関する情報を得るためには、実店舗へ足を運んで実物を手に取って確認するか、カタログやCM、広告などを確認するといった手法がメインでした。
これらの手法は、いわばオフラインによる情報収集といえますが、近年ではオンラインによる情報収集、すなわちインターネットの活用が当たり前となっています。
一口にインターネットといっても、自社サイトで情報を得る顧客もいれば、SNSのタイムラインに流れてきた情報で初めて知る顧客も少なくありません。
顧客との接点であるチャネルが多様化している分、それぞれの場面で購買行動につながるような戦略・施策としてオムニチャネルが求められているのです。
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混同しやすい言葉との違い
オムニチャネルを理解するうえで、混同しやすい言葉も少なくありません。特に間違いやすい言葉との違いを詳しく解説しましょう。
マルチチャネルとの違い
マルチチャネルとは、複数のチャネルを設ける戦略を指します。一見するとオムニチャネルと同じものに感じられますが、マルチチャネルはそれぞれのチャネルが独立しており、個々の売上アップを目指します。
これに対し、オムニチャネルは複数のチャネルを統合し連携するという違いがあり、これによってブランド全体での売上アップを目指します。
クロスチャネルとの違い
クロスチャネルとは、マルチチャネルで立ち上げた各チャネルを連携させる戦略を指します。
オムニチャネルとの違いは、そのつながりの強さにあります。クロスチャネルは各チャネルが部分的に連携していることはあっても、オムニチャネルのように完全に統合されたものではありません。
O2Oとの違い
O2Oとは、オンラインのチャネルを活用しオフラインチャネルでの売上を向上させる戦略です。
たとえば、SNSを活用し実店舗のセール情報を宣伝したり、来店客数を増やすためのイベントやキャンペーン情報を公開することもO2Oのひとつです。
オムニチャネルはオフライン・オンラインを区別することなく統合し、全体として売上アップや顧客獲得を目指す戦略を指します。
オムニチャネルのメリット・デメリット
オムニチャネルは多くの企業で注目されている戦略ですが、さまざまなメリットがある反面、デメリットも存在します。
メリット
主なメリットとしては以下の3点が挙げられます。
顧客体験の一貫性
オムニチャネル戦略では、顧客がどのチャネルを利用しても一貫した体験を得られます。言い方を変えれば、オフライン・オンラインを問わずそれぞれのチャネルで共通した情報や価値を得られるということです。
これにより、顧客は自分の好みに合わせてチャネルを選択でき、企業にとっては購入ルートが増えることで売上アップが見込めます。
データ収集と分析がしやすくなる
顧客がどのような行動・考えをもっているのかを分析することは、マーケティングにおいて重要な指標となります。
オムニチャネルで全てのチャネルを統合し連携を図ることで、顧客の行動や購買パターンに関するデータを効果的に収集・分析することができます。
これにより、企業はターゲットとなる顧客に合わせた販売施策や戦略を実施しやすくなるでしょう。
デメリット
上記とは反対にデメリットとして考えられるのは以下の2点です。
十分なリソースが必要
全てのチャネルを統合するには、高度な技術と十分なリソースが必要となります。
たとえば、すでに運用しているECサイト管理用のシステムと商品紹介用のWebサイトが別々に運用されている場合、システムの統合や移行をするだけでも莫大なコストを要します。
各システムを独立させたまま運用でカバーしようとしても、運用スタッフの工数を確保しなければならず、人件費が増大する可能性もあるのです。
組織改革が必要な場合も
複数のチャネルが運用されている場合、各チャネルの管轄部門は異なる場合が多いものです。
全てのチャネルを統合し一貫した体験を顧客に提供できるようにするには、各部門やチームの協力が欠かせません。組織文化や内部のプロセスを大幅な変更や改革が求められることも多く、これは決して容易なことではありません。
ユニクロから学ぶオムニチャネルの成功事例
チャネル間で一貫した体験を顧客に提供することをオムニチャネルの定義として紹介しましたが、これだけでは正直分かりづらいと感じた方もいるかもしれません。
また、マルチチャネルやクロスチャネルとの違いについても、概念の違いはなんとなく分かったものの、明確に何が違うのか判断が難しいと感じた方も多いのではないでしょうか。
そこで、オムニチャネルを本質的に理解するうえで参考になる事例を紹介しましょう。オムニチャネルのお手本として挙げられることの多いのが、アパレルメーカーのユニクロです。
日本国内のみならず、世界各国に事業を拡大したユニクロでは、積極的なオムニチャネル戦略を展開しています。
自社ECサイトで注文した商品の店舗受け取り
ユニクロでは自社が展開するECサイトで注文した商品を、最寄りの実店舗で受け取れるサービスを展開しています。
通常、ECサイトで注文した商品は宅配便で発送し自宅で受け取るというのが一般的です。しかし、オムニチャネル化によってオンラインの情報を各店舗で共有することにより、顧客にとって受け取りやすい方法が選択できるようになりました。
これはユニクロ側にとってもメリットがあり、たとえば来店のタイミングで新商品や気になる商品を見てもらうことで、実店舗での売上アップにつながる効果も期待できるのです。
オーダーメイド製品の販売
ビジネススーツや礼服などは、採寸をしたうえでその人にマッチしたサイズの製品をオーダーメイドで作ったり、調整する必要があります。
これは多くの場合、実店舗型のビジネスモデルでないと難しく、ECサイトではほとんど見られませんでした。
しかし、ユニクロでは採寸方法をWeb上で公開し、顧客自身に測ってもらい採寸データを収集することで、オンラインでもオーダーメイド製品の販売を可能にしました。
もちろん、実店舗で採寸をしてもらい商品を選ぶこともでき、完成した商品は実店舗で受け取るか宅配便で自宅まで配送してもらう方法が選択できます。
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オムニチャネルでよくある悩みや課題
オムニチャネル戦略を実践しようと考えても、さまざまな課題がありハードルが高く感じられることもあります。
デメリットでも紹介したリソースの確保も大きな課題ですが、物流体制も考慮しながら検討しなければなりません。
たとえば、ユニクロの例でも紹介したようなECサイトの商品を店舗で受け取れるようにするためには、物流会社との契約の見直しが必要な場合や、店舗側の荷受け体制や在庫管理体制も見直す必要があります。
また、どのようなシステムに統合するのか、システム選定における専門的なノウハウや知見も求められます。
ユニクロの成功事例にもあるような、オンラインと実店舗で顧客情報をシームレスに連携するためにはシステム基盤を一から見直す必要があり、自社でそれらを実現するのは容易なことではありません。
オムニチャネル戦略を成功させるためのポイント
上記で紹介した悩みや課題をクリアし、オムニチャネル戦略を成功させるためにはどうすれば良いのでしょうか。特に押さえておきたいのは以下2つのポイントです。
自社の現状・課題を洗い出す
まずは自社のマーケティング戦略がどのようになっているのか、現状抱えている問題や課題を細かく洗い出しましょう。
たとえば、実店舗とECサイトでの売上高の比較や、それぞれのチャネルの客層、リピート顧客の数・割合、顧客満足度の推移などが挙げられます。
仮に実店舗とECサイトの売上高に大きな開きがある場合には、なぜそうなっているのか考えられる原因を追求し、自社で重点的に取り組むべき施策をピックアップしてみましょう。
物流アウトソーシングの専門会社へ相談
オムニチャネル戦略を実現するうえであまりにも課題が多い、または具体的な課題が見つけられない場合には、物流アウトソーシングの専門会社へ相談してみるのもひとつの方法です。
物流アウトソーシングの専門会社は、さまざまなメーカーや卸売、小売事業者の物流業務を支えている物流のプロ集団です。そのため、オムニチャネル戦略を実現するうえで何を解決すべきか、具体的に何に取り組むべきかといったアドバイスやコンサルティングも可能です。
また、システム構築や複数システムの統合においてもさまざまなプランを提示することもできます。これにより、場合によっては物流アウトソーシング会社がもっているシステムを活用し、システム全体の最適化が図れるでしょう。
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オムニチャネルのお悩みは物流アウトソーシングのOTSへご相談ください
オムニチャネルはさまざまな業界で用いられてますが、特にアパレルやファッション、ジュエリーといった品目を扱う事業者にとっては重要なマーケティング戦略といえます。
これらの品目は細かく移り変わるトレンドや季節によっても商品のニーズが変化し、顧客の多くは日々さまざまな情報をチェックしています。
そのため、複数のチャネルで統一化された顧客体験を提供することで、自社の露出を拡大し販売機会の創出につなげられるでしょう。
アパレルやファッション、ジュエリーといった商材のオムニチャネル化を検討している企業は、ぜひ一度OTSへご相談ください。
OTSはアパレル物流のアウトソーシングを専門に請け負っており、これまで多くのメーカーや小売事業者の物流支援を行ってきました。単に物流リソースを提供するだけでなく、オムニチャネルを支えるシステム基盤の構築や統合にも知見があり、有用なアドバイスやコンサルティングも提供できます。
まとめ
実店舗やカタログといったオフラインだけでなく、ECサイトやSNSといったオンラインでのチャネルも増えている現在、それぞれのチャネルで一貫した顧客体験を提供するオムニチャネルは有効なマーケティング戦略といえます。
各チャネルを統合するというのは一見すると単純なことのように思えますが、実際にはシステムの統合や社内体制の整備など解決しなければならない課題も多くあります。
このような課題をクリアし、オムニチャネル化を成功させるためにも、物流アウトソーシングの専門会社へぜひ一度ご相談ください。
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