不動在庫(デッドストック)がもたらすデメリットと対処法
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【在庫の重要性】
在庫は企業活動において非常に重要な要素です。その重要性について改めて言うまでもありませんが簡単にまとめると下記の5点に要約されます。
顧客サービスの向上
在庫を適切に管理することで、顧客への迅速な対応が可能になります。在庫を十分に持っていることで、需要に合わせて即座に商品を市場に提供することができます。これにより顧客満足度は向上し、この点において競合他社よりも優位な立場を築くことができます。
生産効率の向上
在庫は生産プロセスのスムーズな運営にも関連しています。生産ラインを連続的に動かし、需要に応じて生産するためには、必要な資材や部品が在庫として用意されている必要があります。適切な在庫管理により、生産効率は向上しリードタイムを短縮することができます。
リスク管理
在庫は需要やサプライチェーンに関連するリスクを軽減する役割も果たします。急な需要の増加や予期せぬ事象(例:自然災害や供給遅延)によってサプライチェーンが寸断される等の影響を緩和するために、安全在庫やバッファ在庫を保持することが重要となります。
仕入れ条件の改善
在庫を持つことで、仕入先との交渉力が高まります。仕入れ数量が増えることで割引を受けることができたり、配送量が増えることにより配送単価を割安にすることができたりします。在庫を適切に管理することは、調達コストや配送コストといった各種コストを削減し業務を効率化する効果があります。
生産計画の安定性
在庫は生産計画の安定性にも影響を与えます。需要の予測が困難な場合や需要の変動がある場合でも、在庫を保持することで需要の不確実性に対応できます。在庫の適切な管理により、生産計画を安定化させることができます。
【不動在庫の発生原因】
前述したとおり在庫の存在は企業活動において非常に重要な役割を果たし、適切に管理されていればコストの最適化や、業務の効率化、リスクの低減と大きなメリットを生み出す要因となります。
しかし適切に在庫を管理することは容易ではなく、ボタンの掛け違い一つで過剰在庫・不動在庫を生み出すことになります。
不動在庫の発生原因としては以下の4つが考えられます。
需要予測の誤差
需要を正確に予測することが困難な場合、需要量を過剰に見積もってしまう可能性があります。これにより供給過多となり、不動在庫が発生します。
仕入れ過多
仕入れ量を需要に合わせずに過剰に行うと、需要を上回る在庫が発生します。仕入れ過多は需要変動や需要減少の予期せぬ影響によるものや、仕入先の情報不足によるものなどが考えられます。
製品の時代遅れ化
旧型の製品や季節限定の商品など、需要が急速に減少する製品は不動在庫のリスクが高くなります。市場のトレンドや技術の進化に追いつかない場合にも、不動在庫が発生します。
不良品や品質問題
不良品や品質に問題がある商品は、販売機会を得られず不動在庫となります。不良品が多く発生している場合や、製品の品質に問題があることの主な原因は、製品の設計段階や製造プロセス自体に問題がある、あるいは品質管理に不備があるなどが考えられます。
【不動在庫のデメリット】
様々な理由で発生する不動在庫ですが具体的にどのようなデメリットがあるのか。
大きく分けると3つに分類することができます。
資金の拘束とキャッシュフローの減少
不動在庫は売れない在庫であり、長期間にわたって保管されることがあります。これにより、企業の資金が在庫に拘束され、キャッシュフローの低下を引き起こすリスクが高まります。不動在庫が多いほど、企業の運転資本は減少し、財務上の問題を引き起こす可能性が高くなります。解消法としては一般的に以下の手段が考えられます。
- デマンドドリブンの在庫管理: 需要予測を改善し、不動在庫を最小限に抑えるために、需要の正確な予測と需要変動への迅速な対応が必要です。需要予測モデルの改善や需要予測の精度を向上させるためのデータ分析技術の活用が有効です。
- オーダートゥキャッシュ(OTC)サイクルの短縮化: 製造から収金までのサイクルを短縮することで、資金の拘束を減らすことができます。これには生産プロセスの改善や供給チェーンの効率化、収金サイクルの短縮化などが含まれます。
- リバースロジスティクスの活用: 不動在庫を返品や再販の手段として活用することで、在庫の処分や資金の回収が可能となります。リバースロジスティクスの活用には返品ポリシーや再販戦略の見直し、物流のプロセス改善などが重要です。
費用の増加
不動在庫を保管するためには、倉庫スペース、人員、保険などの追加的な費用がかかります。不動在庫の保管には、定期的な監査や保管状態の維持に関連する費用も含まれます。また、不動在庫は古くなりやすく、品質劣化や保管に伴う損傷のリスクもあります。これらの費用は、企業の利益率を低下させる可能性があります。解消法としては、以下の手段があります。
- 効果的な在庫管理システムの導入: 在庫管理システムを活用し、在庫の可視化と効率的な管理を実現します。自動化された在庫監視や再補充のシステムを導入することで、在庫レベルを最適化し、無駄な在庫の蓄積を防ぎます。
- リードタイムの短縮化: 製造や調達プロセスの効率化により、リードタイムを短縮します。需要に迅速に応えることで、在庫の回転率を上げ、保管期間を短縮することができます。
- 在庫の品質管理と保管状態の最適化: 在庫の品質管理を徹底し、損傷や劣化のリスクを最小限に抑えるために、適切な保管状態や保管施設の整備が重要です。また、在庫の定期的な監査と品質チェックを行い、問題を早期に発見し解決します。
機会損失
不動在庫は需要を満たすことができず、売れ残った在庫となります。需要がある商品が在庫にない場合、企業は収益を得ることができません。また不動在庫が大量に存在すると、キャッシュフローの低下や倉庫スペース圧迫等の問題が発生している可能性が高く、他の売れ筋商品を追加で在庫することの障壁となり、需要に応えることができず販売機会の損失を招きます。解消法としては、以下の手段があります。
- 需要予測の精度向上: 需要予測モデルや予測手法の改善に取り組み、需要の正確な予測を行います。マーケットリサーチや顧客のフィードバックを活用し、需要の傾向を把握することが重要です。
- リアルタイムの在庫管理: 在庫の状況や需要の変化をリアルタイムで把握し、在庫の動態に迅速に対応することが必要です。自動化された在庫管理システムや需要予測モデルを活用し、需要の変動に柔軟に対応します。
- セールやプロモーションの活用: 不動在庫を促進するために、セールやプロモーション活動を行います。価格の引き下げや特典の提供などにより、需要を喚起し不動在庫を処分します。
【不動在庫が物流に与える影響】
このように不動在庫は直接的に健全な企業活動を阻害する要因となりますが、物流の現場においても様々なデメリットを引き起こす事になります。
ストレージコストの増加
不動在庫を保管するためも多くのスペースを必要とします。在庫が長期間滞留すると、無駄な保管費用が発生し続けるだけでなく保管スペース自体が不足する可能性もあり、その際は追加の倉庫スペースや保管施設を借りる必要が生じます。これによりストレージコストが増加する可能性があります。
供給チェーンの遅延
不動在庫が物流システム内に存在すると、正常な在庫管理と物流プロセスに影響を与える可能性があります。不動在庫を取り扱うためのリソースや労力が本来の在庫の管理から割かれるため、物流全体の効率が低下することがあります。これにより、供給チェーン全体が遅延し、他の商品の流通にも悪影響を及ぼす可能性があります。
鮮度や品質の劣化
特定の商品や製品には鮮度や品質が重要な要素となるものがあります。デッドストックが長期間保管されると、商品の鮮度や品質が低下する可能性があります。その結果、商品の価値が減少し、顧客満足度が低下することがあります。
OTSはお客様の不動在庫の問題にも多数のソリューションを用意しています。
修理サービス
高い不良品率は不動在庫を増やす大きな要因の一つです。OTSは倉庫内にアパレル・ジュエリー・時計の修理工房を持ち不良品のA品化を短いリードタイムで実現することができます。OTSの物流と合わせて倉庫内修理サービスを利用いただければ、販売機会の損失を最小限にするだけでなく、デッドストックによる倉庫スペースの圧迫も未然に防ぐことが可能となります。また不動在庫の管理に関わるリソースもカットすることができ、多くのメリットを生み出すことができます。
デジタルテキスタイルプリントサービス
OTSは2022年にデジタルテキスタイルプリントサービスをローンチしました。最新のインクジェットプリンターを導入することで、小ロット・短納期でのオリジナル生地生産が可能となりました。
小ロット生産と短納期を可能にしたことにより、ほしい時に欲しい量だけ発注することが可能となり在庫を最小限にしながら、売り時も逃がさない、理想的なソリューションとなりました。
在庫販売
すでに発生している、あるいは今後発生してしまう不動在庫に対しては、ブランド価値を棄損しないクローズドな市場で在庫を販売するお手伝いをさせていただきます。
フラッシュセールやクローズドセールといったブランド価値を損なわない販路と、お客様を仲介いたします。
まとまった数量の不動在庫を一度に処理することができキャッシュフローの改善や棚卸資産の減少といった財務上のメリットを大きく受けることができます。
また倉庫スペースを圧迫してる不動在庫を解決することで、物流効率も大幅に改善することが期待されます。また廃棄をゼロにすることができ、ファッションロスという業界が抱える問題を解決する大きな一歩となります。
まとめ
不動在庫のデメリットは資金の拘束や費用増加、機会損失などが挙げられます。しかし、需要予測の改善、オーダートゥキャッシュサイクルの短縮、リバースロジスティクスの活用、効果的な在庫管理システムの導入、在庫の品質管理と保管状態の最適化、リアルタイムの在庫管理、セールやプロモーションの活用などの手段を用いることで、これらのデメリットを解消することができます。企業は戦略的な在庫管理を実践し、不動在庫の最小化を目指すことで、経済的な効率性や競争力を向上させることができます。
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