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越境ECとは?個人でも可能?どんな商品に使える?始め方や物流の最適化を紹介

公開日: : 最終更新日:2023/05/16 ファッション物流, 越境EC

ECサイトの売上向上につながる施策のひとつに、越境ECとよばれるものがあります。

海外の顧客に向けて商品やサービスを販売することであり、現在では個人でも越境ECに取り組むケースが増えています。

本記事では、越境ECを始めるためにはどのような手順で進めていけば良いのか、海外における物流の最適化も含めて詳しく解説します。

越境ECとは?

越境ECとは、国境を越えて商品を売買する電子商取引(EC)のことを指します。

一般的なECは事業者・顧客ともに日本国内であるため、取引から商品の到着まで円滑に行われます。

ところが、越境ECでは海外の国からの販売や購入を実現するために、異なる言語や通貨、商取引の文化、法律などさまざまな事柄を考慮しなければなりません。

越境ECへ取り組むうえでの課題は多いものの、グローバル市場においてビジネスを拡大するための重要な手段であることは間違いありません。

 

越境ECのビジネスモデルの特徴

一口に越境ECといってもさまざまなビジネスモデルがあります。

代表的な3つの種類に分けて紹介しましょう。

自社運営の越境ECサイト

ひとつ目は、ターゲットとする国に向けて越境ECを作り、自社でECサイトを運営する方法です。

それぞれの国に合わせた言語でサイトを構築することはもちろんですが、決済の方法や取り扱い商品、価格帯なども現地のニーズに合わせて構築することが重要です。

海外のECモール出店

2つ目は、現地のECモールへ出店する方法です。

日本の場合は楽天市場などが有名ですが、海外の国ではAmazonやeBayといったECモールが存在し、越境ECの事業者が出店することも可能です。

越境ECサイトを自社で構築・運営するよりも負担が少なく、比較的参入しやすいのが特徴といえるでしょう。

代行販売型越境EC

3つ目は、海外の国に向けて販売代行事業を行っている事業者から自社の商品を買い取ってもらい、間接的に海外の顧客に向けて商品を販売する方法です。

自社運営のECサイトや海外のECモール出店に比べると手間がかからず手軽に利用できますが、代行の手数料がかかってしまうため、販売価格が割高になるというデメリットもあります。

 

越境ECの市場規模について

越境ECの市場規模は世界的に見て年々拡大傾向にあります。

国によっても市場規模は異なりますが、なかでも圧倒的な市場規模を誇るのが中国です。

経済産業省のレポートによると、2021年度の越境EC国別市場規模は、中国が4兆7,000億円と圧倒的で次いで米国が2兆400億円と続いています。

日本の市場規模は3,700億円とまだまだ限定的ですが、今後さらに成長していくものと見られています。

なお、上記の数字はいずれも海外の国からの購入額を指しています。

中国は米国と日本から2兆円以上もの売上を誇っているのに対し、米国からは8,000億円、日本からの購入額は365億円にとどまっています。

 

越境ECは個人でも可能?

海外の顧客を相手にするとなると、越境ECは大規模な設備投資や準備が必要になるのではないかと考える方も多いでしょう。

しかし、結論からいえば越境ECは個人でも手軽に始められ、短期間でビジネス規模を拡大できるチャンスがあります。

個人で越境ECに挑戦する場合には、主に自前でサイトを開設する方法と、ショッピングモールへ出店する方法の2パターンに分かれます。

自前でサイトを開設する方法

自前でサイトを開設する場合には、サーバーをレンタルしECサイトのコンテンツを拡充していく必要があります。

レンタルサーバーは海外のサービスを利用することはもちろん、日本のレンタルサーバーでも問題ありません。

ただし、いずれにしても海外の顧客が利用しやすいよう、言語や取扱商品、価格帯などを考慮しておく必要があります。

ショッピングモールへ出店する方法

ターゲットとする国や地域のショッピングモールへ出店する場合には、現地のことをしっかりとリサーチし、どのサイトの集客力が高いのかを見極めることが大切です。

また、実際に商品を出品する際には、ショッピングモールの規約や規定を確認し、出店者として登録しておく必要があります。

 

越境ECはどんな商品に使える?

越境ECで取り扱う商品はさまざまで、特にルールはありません。

ただし、ビジネス規模の拡大を図るためには、売れやすい商品や商材に絞り込むことも重要なポイントといえるでしょう。

たとえば、アパレルやファッション、ジュエリーといった商品は国や地域にかかわらず一定のニーズがあり、特に品質の高い日本製のものは人気を得やすいです。

また、これらの商品は配送料も比較的安価で、コストも抑えられるメリットがあります。

一方、越境ECに向かない商品としては、書籍や食品・飲料などが代表的です。

日本語で書かれた書籍は海外の顧客にとってニーズが低く、市場規模の拡大につながりづらいためです。

また、食品や飲料は品質保持が難しく鮮度の低下が懸念されます。

 

越境ECの始め方

実際に越境ECを始める際には、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。

押さえておきたいポイントと一連の流れを紹介します。

ターゲットとする国および商品の選定

まずは出店する国や地域、そして取り扱い商品を選定します。

たとえば、アパレル製品を出品する場合、現地の気候や風土、文化によってもニーズは変わってきます。

それぞれの国の特性や文化を把握し、自社が販売しようとする商品がマッチするのかをリサーチのうえ選定しましょう。

法規制の確認

越境ECにおいては、必ずしも自社が販売したい商品を現地で取り扱えるとは限りません。

国によってさまざまな法規制があり、日本国内では問題がなくても海外では販売が禁止されている商品があるためです。

法規制については以下の「越境ECで知っておくべき法規制」の部分でも詳しく解説しているため、こちらも参考にしてみてください。

システムやプラットフォームの導入

越境ECへ参入することで、多くの問い合わせや注文が入ることがあります。

業務量が増加することも考えられるため、作業を効率化するためにもシステムやプラットフォームの導入を検討しておきましょう。

決済や物流、カスタマーサポートなどが一体となって利用できる越境EC向けのシステム、プラットフォームが提供されています。

多言語化への対応

越境ECサイトを構築すると、ターゲットとする国以外の顧客からも注文や問い合わせが入ることがあります。

そのため、サイトの構築にあたっては、現地の言語と日本語以外にも、多言語に対応させておくことが理想的です。

越境EC向けのシステムやプラットフォームでは多言語設定に対応しているものも少なくありません。

物流でお困りの方、
まずは相談!

 

越境ECと決済システム

越境ECで売上規模を拡大していくためには、決済システムの選定が重要です。

代表的かつ使い勝手の良い決済システムにはクレジットカード決済やデビットカード決済、ネットバンキングなどがありますが、近年になって電子マネーや第三者決済も普及しはじめています。

第三者決済とは、顧客とEC事業者の間に決済事業者が入り、安全な決済を行うための仕組みを指します。

代表的な第三者決済サービスには「PayPal」があり、世界で圧倒的なシェアを誇っています。

日本国内とは異なり、海外のECサイトではクレジットカード情報を販売事業者に引き渡すことで悪用されるリスクが伴います。

このような理由から、第三者決済に対応していないECサイトは顧客に警戒されるおそれがあるのです。

そのため、これから越境ECへ参入する際には、クレジットカード決済だけでなく第三者決済サービスも用意しておくと良いでしょう。

 

越境ECにおける物流最適化のポイント

越境ECにおいて大きな課題となるのが、物流業務の最適化です。

日本国内であれば宅配便を利用する方法もありますが、海外への発送となると物流事業者との連携は不可欠であり、信頼できる物流事業者を選ばないと配送事故や法外な料金が請求されたりといったトラブルが発生します。

物流の最適化のためにどのような点に注意すべきか、3つのポイントに分けて紹介しましょう。

越境ECに対応した物流事業者の選定

はじめに、越境ECに対応した物流事業者を探しましょう。

一口に物流事業者といっても、特定の国や地域に特化した物流サービスを提供している事業者もあります。

海外における物流業務のノウハウがない場合には、各国の物流に特化した事業者を選定することで越境ECに関するさまざまなサポートを受けられる可能性があるでしょう。

配送コスト

配送コストを抑えることは商品を手頃な価格で販売することにもつながり、越境ECにおける顧客満足度向上に貢献できるでしょう。

物流事業者によっても配送コストは異なるため、複数の事業者から見積もりをとってもらいコストを比較することが大切です。

通関手続きの代行・サポート

海外の国や地域へ商品を配送する場合には、通関とよばれる複雑な手続きを経る必要があります。

通関にはインボイスや売買契約書、パッキングリストといった書類を作成しなければならず、専門的な知見が求められます。

このような事務手続きを物流事業者が代行・サポートしてくれるかどうかも判断材料となります。

 

越境ECで知っておくべき法規制

越境ECでは、各国の法規制を把握したうえでそれらを遵守しなければなりません。

法規制は国や地域によっても異なり、たとえば中国の場合以下のような規制が存在します。

  1. 中国国内で登記済みの会社が運営している越境ECプラットフォームを利用すること
  2. 取引する商品がポジティブリスト(1321種類)に該当する品目で、かつ、個人利用目的であること
  3. 取引・支払い・物流の電子情報を税関が監督管理できること
  4. 1回の取引金額が5000元以下、かつ、個人の年間取引金額が2万6000元以下であること

 

なお、越境ECでは通常、上記でも紹介したように通関手続きを経る必要があります。

通関にはさまざまな書類を作成しなければなりませんが、たとえば中国の場合はこれらの書類の提出が不要です。

また、輸出する品目に応じて関税とよばれる税金を支払わなければならない場合があります。

越境ECへ参入する際には、各国の法規制を調べ上げ、要件を満たしているかどうかを判断することが大切です。

 

越境ECで使える補助金について

越境ECへの参入にあたっては、さまざまなシステムやプラットフォームを用意しなければならず設備投資がかかります。

しかし、これらの負担を少しでも軽減するために、日本ではさまざまな補助金制度が用意されています。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、ECサイトの構築やシステム、ソフトウェアの導入にかかる費用の一部を補助するものです。

ソフトウェア購入費や開発費はもちろんのこと、クラウドサービスの利用料も対象となり、最大2年分が補助対象となります。

ものづくり・商業・サービス補助金

通称「ものづくり補助金」とよばれる制度で、EC事業者の場合は海外市場の開拓やブランディング、プロモーションにかかる費用の一部を補助するものです。

補助上限は3,000万円、補助率は小規模事業者の場合3分の2となります。

 

OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社

アパレル製品やファッション小物、ジュエリー製品などを越境ECで販売したいと考える事業者も多いのではないでしょうか。

これらの商材をECサイトで販売する際には、タグの付け替えや補修作業などの流通加工のノウハウも求められます。

また、個人の顧客宛ての小口配送がメインのため、受注量が多くなればなるほど物流業務の負担も増大していきます。

このような課題を解決し、スムーズな越境ECを実現するためにも、アパレルやファッション、ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社への委託も検討ください。

OTSは越境ECに取り組む多くの事業者に対し、物流業務のサポートや業務そのものの受託も行っています。

物流でお困りの方、
まずは相談!

 

まとめ

越境ECに取り組むことで、売上規模の拡大や新たなビジネスチャンスの獲得にもつながっていきます。

一方、海外の顧客に対して商品を販売することから、日本国内でのECとは異なるノウハウや知見が求められることも事実です。

特にアパレルやファッション、ジュエリーの商品を越境ECで扱う場合には、ノウハウが豊富な物流アウトソーシングの専門会社へ頼ってみるのもひとつの方法です。

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「物流からファッション企業を元気にしたいんです・・・」 それって、おせっかいだなと感じます。 でも、そのおせっかいをまじめに、本気で取り組んでいます。 ファッション企業だけに、創業から30年以上多くの企業の物流をサポートしてきました。そこで関わる中で、「もっとこんなことができればと思うんです」 皆様のお役に立つ情報を物流視点から発信いたします。

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