EC・通販に適した物流倉庫の特徴や課題とは?選び方も紹介
ECサイトへの出店や通販を運営している企業にとって、物流倉庫は不可欠な存在です。
倉庫と聞くと単に商品や荷物を保管しておく場所というイメージをもたれがちですが、実際には物流拠点として重要な役割を果たすと同時に、さまざまな物流作業を行う場所という側面もあります。
そこで本記事では、ECや通販に適した物流倉庫にはどのような種類があるのか、倉庫の選び方などもあわせて紹介します。
Contents
物流でお困りの方、
まずは相談!
EC・通販で物流倉庫が必須な理由
EC事業者や通販事業者にとって、物流倉庫は非常に重要な役割を果たす存在です。
なぜこれらの事業者にとって物流倉庫は必須なのか、その理由を2つのポイントに分けて解説しましょう。
商品の保管場所を確保するため
商品を適切に保管するための場所として物流倉庫は不可欠な存在です。
特にECや通販においては、多数の商品を扱い全国の顧客から注文を受けるため、大規模な保管スペースが必要になります。
また、単に商品を保管するだけでなく、取り扱う商材によっては厳格な温度・湿度の管理が求められることもあるでしょう。
十分な広さのスペースを確保するとともに、冷蔵や冷凍、空調管理も行うために物流倉庫は重要な役割を果たします。
物流拠点の役割も果たすため
商品の受注から発送までのプロセスを効率化するためにも物流倉庫は重要な存在です。
ECや通販では、顧客が注文した商品を迅速かつ正確に発送することが求められますが、製造拠点から直接発送するとなると商品を届けるまでの日数が長期化し、顧客満足度の低下を招くおそれもあります。
そこで、完成した商品を物流倉庫に入庫し在庫を保管しておくことで、正確でスピーディな発送が可能になります。
また、物流拠点では単に荷物の仕分けや発送作業を担うだけでなく、流通加工の業務も行う場合があります。
販売する商品のギフトラッピングや簡単な補修作業などを行い、物流品質だけでなく商品そのものの品質向上も担っています。
EC・通販物流における課題とは
物流業界では深刻な人手不足が問題となっており、それに付随してさまざまな課題が顕在化しています。
物流業務の停滞・遅延
インターネットユーザーの増加や、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の風潮が高まったこともあり、近年になってECや通販の需要が急激に増加しています。
EC事業者や通販事業者の顧客はその大半が個人客であることから、宅配事業者へ配送を委託することになります。
しかし、あまりにも急激に需要が拡大したことから、物流現場では配送作業が間に合わないことも多く、商品の到着遅延や物流業務そのものが停滞しているケースも少なくありません。
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物流業務の品質低下
輸送・配送中の事故などによって、物流業務そのものの品質低下も懸念されています。
ECや通販においては、商品の適切な保管と丁寧な輸送・配送による品質管理が重要です。
しかし、人手不足によって物流業務に慣れない担当者が作業を行うと、運送中の商品の傷みや破損、紛失といった問題が発生することもあります。
また、天候や気温などの環境要因により、商品の品質が損なわれることも考えられるでしょう。
物流コストの増加
世界情勢の変化による物価高騰の影響で、燃料をはじめとしてさまざまなコストが上昇しています。
また、十分な人手を確保するためには、従業員の待遇を見直さなければならず人件費も高騰していくでしょう。
企業努力によってコスト削減に取り組んだとしても、結果として運賃や送料へ反映せざるを得ないことも多く、荷主企業にとっては物流コストの増加が自社の利益を圧迫するケースもあります。
また、受注管理や在庫管理、配送などのプロセスを効率的に行うために、最新の技術やシステムを導入する方法もありますが、その際にも多額の導入コストや運用コストが課題となります。
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EC・通販に特化した物流倉庫の特徴
上記で紹介したような物流業務の課題を解決するために、どのような物流倉庫が運用されているのでしょうか。
代表的な3つの特徴に分けて解説しましょう。
在庫管理システムの導入
売上の規模が大きくなるほど、EC事業者や通販事業者では高度な在庫管理システムが導入されているケースが多くあります。
これは物流業務を効率化し省人化を実現するという目的もありますが、それと同時に在庫状況をリアルタイムで把握し、システムへ反映させなければならないといったECならではの事情もあるためです。
たとえば、ECと実店舗での販売を並行している場合、在庫状況がリアルタイムで更新されないと「ECサイト上では在庫があるのに、店舗ではすでに販売され残っていない」といった事態にもなりかねません。
このような事態を防ぐために、バーコードやRFIDなどの技術と在庫管理システムを組み合わせることで、在庫情報をリアルタイムに把握することができます。
物流プロセスの自動化
毎日のように多くの注文が届くEC・通販の物流倉庫では、在庫管理以外にも商品のピッキングや包装、出荷作業などのプロセスを自動化するために、先進的なシステムが導入されています。
たとえば、クレーンシステムを採用した自動倉庫や自動運搬車などの導入もそのひとつで、人為的ミスや作業事故のリスクを軽減し、作業効率の向上に役立てられます。
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顧客ニーズへの細やかな対応
EC・通販の物流倉庫では、単にマニュアル化された物流業務だけを行うのではなく、顧客ニーズに合わせたきめ細やかな対応も行っています。
たとえば、商品の配送指定日時の希望に応えるサービスや、ギフトラッピングなどの特別な包装、ネーム入れなどのサービスも代表的な事例といえるでしょう。
EC・通販の物流倉庫の種類
一口にEC・通販向けの物流倉庫といっても、じつはさまざまな種類が存在します。
代表的な4つの倉庫の種類とそれぞれの特徴・違いを紹介しましょう。
販売主体型の倉庫
販売主体型の倉庫とは、EC事業者がプラットフォームとして提供している物流倉庫のことです。
具体的には「フルフィルメントby Amazon」や、「楽天スーパーロジスティクス」などが該当し、自社に物流業務のノウハウがない場合でもある程度の運用を任せられるメリットがあります。
一方で、モールやECサイトに出品している多くの事業者が共通して利用するため、ルールが厳格化されており細かなカスタマイズが難しいというデメリットもあります。
業種特化型の倉庫
業種特化型とは、販売する品目や商材に特化した物流倉庫のことです。
たとえば、アパレル製品やファッション小物類を扱う場合には、ボタンのほつれや金具の外れなど簡単な補修作業を行わなければなりません。
このような専門的な流通加工にも対応しているのが業種特化型倉庫の特徴といえます。
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倉庫サービスを主体とした倉庫
販売主体型の倉庫は大手ECサイトや通販事業者が主体となって提供していますが、物流倉庫をもっている事業者が主体となって提供されているケースもあります。
個別に倉庫事業者と契約するため、販売主体型に比べて柔軟性の高いカスタマイズも可能です。
システム会社との連携をしている倉庫
在庫管理システムなどのソフトウェア提供事業者が主体となって運営している物流倉庫もあります。
大きな倉庫を借りたとしても、自社が求めるシステムの要件にマッチしていなければうまく稼働することができません。
システム会社と連携している倉庫であれば、導入予定のシステムの仕様にマッチした倉庫を提案してくれるため、倉庫選びに失敗するリスクが低いでしょう。
EC・通販物流倉庫の選び方
物流倉庫の選定にあたっては、単に広さや賃料だけを比較するのではなく、さまざまなポイントに注意しておかなければなりません。
特に押さえておきたい3つのポイントを紹介しましょう。
自社が取り扱っている商品や商材の知見・専門性があるか
まずは、自社が取り扱っている商品や商材について十分な知見が備わっているか、これまでの実績なども確認しておきましょう。
特にアパレル製品やファッション小物などは細かな流通加工の作業が必須であり、これに対応できることが大前提となります。
また、生鮮食品などを扱う場合には、冷凍・冷蔵設備が整っているかも重要な点です。
立地条件
物流倉庫の賃料は、立地条件によってコストが大きく変わってきます。
都心部ほど賃料が高く、郊外にいくほどコストを抑えられます。ただし、都心部だからといって必ずしも立地に恵まれているとは限りません。
高速道路からのアクセスや周辺道路の混雑状況、道路の広さなども考慮しておかないと、連日のように渋滞に巻き込まれリードタイムが長くなるおそれもあるのです。
サポートの充実度
物流倉庫の多くは、単に在庫の保管スペースを貸し出して終わりではなく、在庫管理システムなども一緒に提供しています。
特に物流センターとして稼働したばかりの頃は、システムの使い方がわからなかったり、エラーの発生原因が解明できなかったりとさまざまなトラブルが発生しがちです。
そのような場合でも電話で対応方法を教えてくれたり、すぐに現地へ駆けつけてくれたりと、丁寧にサポートしてくれる物流倉庫を選ぶようにしましょう。
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物流倉庫を外部に委託するメリット
物流倉庫の運用方法はさまざまで、なかには自社専用の倉庫を建設したり、個別に倉庫だけをレンタルして設備やシステムは自社独自で一から構築したりする企業もあります。
しかし、一般的には外部の事業者へ委託するケースが多く、その背景には以下のようなメリットがあります。
人手不足を解消できる
もっとも大きなメリットとして挙げられるのが、人手不足を解消できることです。
物流倉庫内で行われる作業は外部の専門業者が担うため、自社の従業員は物流業務から解放され、商品開発や営業といったコア業務にのみ専念できるようになります。
物流品質の向上
物流業務の経験がない従業員が一から自社物流の体制構築に取り組むとなると、人為的ミスや作業効率が低下するなどして物流品質が向上しにくくなります。
しかし、外部の事業者へ作業を委託できれば、人為的ミスを最小限に抑えられ物流品質の向上が期待できるでしょう。
物流コストの削減
外部の事業者へ作業を委託するとなると、委託料を支払わなければなりません。
しかし、一から自社物流の体制を構築した場合、それ以上の人件費やシステム開発費用などがかかってしまうこともあります。
委託料を支払ったとしても、トータルのコストは削減できる可能性が高いのです。
物流倉庫の業務を委託したときの流れ
実際に物流倉庫の業務まで委託する場合、どのような作業が行われるのでしょうか。
一連の流れに沿って簡単に紹介しましょう。
検品
メーカーや卸売事業者から仕入れた商品をひとつずつ検品し、品目や数量に間違いがないか、異物が混入していないか、商品に傷や破損がないかを確認します。
保管
異常がないことを確認できた商品は、倉庫内の所定の場所へ保管されます。
単に空いたスペースへ商品を詰め込むのではなく、ピッキング作業がしやすいよう保管場所や保管方法が細かく考慮されています。
また、商品の保管と同時に在庫管理システムへデータも入力します。
出荷
顧客から商品の注文が入ったら、注文書通りに商品をピックアップし梱包、配送先情報を記載した伝票を貼り出荷されます。
出荷の段階で在庫管理システムのデータも更新し、つねに最新情報が記録されるようになっています。
物流倉庫を外部に委託したときの費用
物流倉庫および物流業務を外部の事業者へ委託した場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
委託内容や物流の規模によっても費用は大きく変わりますが、比較的小規模なEC・通販出店者であれば以下が目安となります。
内訳 | 費用の目安(月単価) |
基本料金 | 20,000円 |
保管料 | 20,000円 |
入庫料 | 10,000〜20,000円 |
検品料 | 10,000〜20,000円 |
梱包料 | 100,000〜200,000円 |
配送料(@400円×1,000個) | 400,000円〜 |
合計 | 560,000〜680,000円 |
上記は1個あたりの配送料単価が400円、月間で1,000個の商品を配送したケースを想定していますが、単価や出荷量によっても費用相場は変わってきます。
物流アウトソーシングの上手な選び方|導入メリットや自社物流との違い
OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社
ECや通販のなかでも、アパレルやファッション、ジュエリーといった商品は多くの企業・店舗が取り扱っています。
しかし、自社で一から物流体制を構築するのは多くの手間とコストがかかり、小規模事業者にとっては難しいと感じることもあるでしょう。
そのような場合には、これらの商材に特化した物流アウトソーシング専門会社であるOTSへご相談ください。
ボタンのほつれ直しやホックの付け直し、商品タグの付け替えといった細かな流通加工にも対応でき、アパレル物流に適した物流倉庫の選定、システムの導入・運用のアドバイスなどにも対応できます。
まとめ
ECや通販といった事業を運営する企業にとって、大量の在庫を保管しさまざまな作業を行う物流倉庫は欠かせない存在です。
一口に物流倉庫といっても、大手ECサイトやショッピングモールなどが運営する倉庫もあれば、物流倉庫を保有している事業者が主体となって提供している倉庫などもあり、自社に合ったところを選ぶ必要があります。
物流業務のノウハウがない企業にとっては、倉庫選びやシステムの導入、その後の運用まで不安に感じることも多いと思います。そのような場合には、各商材に特化した物流アウトソーシングの専門会社へご相談ください。

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