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商流の意味や物流との違い|フロー図の作成方法をわかりやすく解説

公開日: : 最終更新日:2023/06/11 ファッション物流

モノを製造するメーカーや、商品を販売する小売事業者などにとって、押さえておきたい重要な概念のひとつに「商流」があります。

言葉は耳にしたことがあっても、物流と何が違うのか、具体的にうまく説明できないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、商流の意味や物流との違い、商流を理解するうえで重要なフロー図の作成方法などもあわせて解説します。

商流の意味とは

商流とは「商的流通」の略称で、「取引流通」とよばれることもあります。

商品や製品を生産してからエンドユーザーの手元に届くまでの間に、所有権がどのように移動するのか、一連の流れのことを指します。

商品や製品の製造から販売においては、メーカーと小売店以外にも、原材料の調達先(卸業者)や商品の卸売業者などが介在します。

この複数の事業者を、どのような流れで所有権が移り変わっていくのかを表したものが「商流」ということになります。

ちなみに、商流とは流通機能のひとつであり、流通機能はほかにも以下の要素で構成されています。

商流

商品・製品が製造されてからエンドユーザーの手元に届くまでの所有権の一連の流れ

物流

商品・製品そのものがエンドユーザーの手元に届くまでの一連の流れ

金流

取引によって生じる金銭の一連の流れ

情報流

商品・製品がエンドユーザーの手元に届くまでの情報の流れ

 

物流やサプライチェーンとの違い

商流と混同しやすい概念として、物流やサプライチェーンがあります。それぞれどのような違いがあるのか、詳しく解説しましょう。

物流と商流の違い

冒頭でも簡単に紹介しましたが、物流とは「商品・製品そのものがエンドユーザーの手元に届くまでの一連の流れ」のことです。

商流はあくまでも所有権の流れを表すのに対して、物流は商品や製品の物理的な流れを表したものという違いがあります。

サプライチェーンと商流の違い

サプライチェーンとは、商品や製品を製造するために必要な原材料の調達から、製造や在庫管理、輸送、販売といった流れを指します。

物流と同じ概念として捉えられがちですが、サプライチェーンの場合は原材料の調達段階からの流れを指します。すなわち、商流も物流もサプライチェーンの一部ととらえることができます。

 

商物分離とはなにか

冒頭で商流と物流は流通機能に含まれることを紹介しました。

従来、商流と物流はまとめて行われる企業が少なくありませんでしたが、現在では商流と物流を分けることでさまざまなメリットがあるため、両者を分離して行う「商物分離」が推進されています。

商物分離の具体的なメリットとしては、営業活動と輸送・配送といった物流業務のそれぞれの経費を比較し、質の高いサービスを提供することができる点が挙げられます。

また、営業活動と物流業務それぞれを分けて業務に専念することで、効率的な営業活動と商品管理の品質向上にも貢献します。

 

商物分離がビジネスにおいて重要な理由

日本における流通はこれまで、業界や業種によってさまざまな構造に分かれていました。

たとえば、アパレル製品の場合は、アパレルメーカーから卸売業者へと製品が引き渡され、小ロットに分けたうえで小売業者へと渡り、店舗スタッフが店頭へ並べます。

小売店のなかには多品種を扱う業態も多く、たとえばデパートなどではアパレル製品以外にも食品や飲料、日用雑貨、嗜好品なども取り扱っています。顧客からしてみれば、ひとつの店舗でさまざまな品物が手に入るお店は利便性に優れていることから、多品種を扱う店舗業態はシェアを拡大しています。

しかし、流通業界から見れば、従来のような特定の品目を扱う業種別から、多品種を扱う業態別のビジネスモデルへと転換に迫られるようになったのです。

特定品目のみを扱う業種別の場合、商流と物流が同一経路で行われることに大きな問題はありませんでした。

しかし、業態別のビジネスモデルにおいては、さまざまな品目を扱わなければならないため商流と物流は複雑化し、業務の合理化がなかなか進められないという問題が生じました。

そこで商物分離とよばれる概念が注目されるようになり、経営の合理化を進めるために多くの企業が採用しているのです。

物流でお困りの方、
まずは相談!

 

商流を理解するメリット

モノの流れを示す物流はイメージがしやすいですが、所有権の流れを示す商流はイメージしにくく、何のために理解しなければならないのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

商流を理解することでどのようなメリットがあるのか、主なポイントを紹介します。

取引先との商談がスムーズになる

ビジネスにおいては必ずといっていいほど取引先が存在します。たとえば、メーカーからしてみれば製品を卸す卸売業者や原材料を調達する他のメーカーなどが考えられ、それぞれの企業に対して契約を結び、売買に応じて決済をしなければなりません。

単にモノの流れを示す物流だけを理解していても、取引先とどのような契約が結ばれているのか把握することは難しいため、商流を理解しておく必要があるのです。

これにより、万が一取引先とトラブルに発展したり、認識の相違があったりした際にも適切な対応がとれるようになります。

流通全体の課題や問題点を把握できる

個々の取引先との関係や契約状況を把握することだけでなく、流通全体を俯瞰して見られることも商流を理解する大きなメリットです。

たとえば、特定の取引先からの納品が遅れ製品の完成に時間を要している場合、どこがボトルネックとなっているのかを正確に分析できます。

これにより、該当の取引先との契約内容を見直したり、商流全体を最適化したりすることで課題解決に導くこともできるでしょう。

 

商流のフロー図の作り方

複数の取引先がある場合、商流が複雑になりがちで体系的に理解することが難しい場合もあるでしょう。そのようなときに便利なのが、フロー図の作成です。

商流のフロー図はどのように作成するのか、具体的な作り方や手順を紹介しましょう。

1.取引先やステークホルダーの洗い出し

まずは自社が取引している企業やステークホルダーを網羅的に洗い出します。

原材料の調達先はもちろんのこと、卸売業者や店舗、エンドユーザーとなる顧客なども漏れなく洗い出すことが大切です。

取引先やステークホルダーの洗い出しにあたっては、仕入先や外注先、販売先などどのような関係にあるのかを書き出しておきましょう。

2.取引先やステークホルダーとの関係性を記載

次に、取引先やステークホルダーとの関係性をフロー図に記載します。

たとえば、どのような品物を提供するのか、誰に対して代金を支払うのかなど、関係性がわかるように矢印で繋いでいきます。

3.金額の追記

最後に、商流全体がわかるように具体的な金額を矢印部分に追記します。

 

商流によくある課題や問題点

商流を考えるうえで、さまざまな課題や問題点を抱える企業も少なくありません。具体的にどういったことが挙げられるのか、主な2つのポイントを紹介しましょう。

データの不整合

取引に使用するデータに不整合があると、商流において混乱や誤解を引き起こす可能性があります。これは多くの場合、異なるシステムやプラットフォームがうまく連携できなかったり、またはデータ入力のミスや更新の遅れなどにより発生することがあります。

たとえば、商品の在庫情報が異なるシステム間で一致しない場合、在庫切れの商品を誤って販売してしまうかもしれません。また、顧客情報の不整合は誤配送につながり、顧客満足度を低下させる可能性もあるでしょう。

グローバル化への対応

日本国内のみならず、海外へのビジネス進出も容易になり、商品やサービスの市場を世界全体に広げられるチャンスが拡大しています。しかし、それは同時に商流に多くの課題ももたらします。

国際的な取引では、国によって異なる法規制や税制、物流インフラ、文化的な違いなどに対応する必要があります。たとえば、商品の輸出入には通関手続きが必要で、それには正確な書類作成や税金の計算が求められます。これらのプロセスは複雑で時間がかかることがあります。

また、グローバルなサプライチェーンでは、現地の労働環境や文化的な違いなどの事情を理解する必要もあります。

 

物流アウトソーシングは商流においてどんなことに役立つ?

さまざまな課題や問題を抱える商流において、有効な解決策のひとつに物流アウトソーシングの活用が挙げられます。具体的にどうやって課題解決に結び付けられるのかを紹介しましょう。

物流システムやリソースの活用

物流アウトソーシングは物流業務の専門会社が提供しており、業務効率化や品質を向上させるためのさまざまなシステム・リソースがあります。

データの不整合を解消するためには、一元的なデータ管理システムの導入やデータ品質の管理が重要です。

具体的には、物流専門会社がもつERP(Enterprise Resource Planning)システムやCRM(Customer Relationship Management)システムなどの活用により、一元的にデータを管理できます。

これにより、異なるシステムやプラットフォーム間で発生するデータの不整合を抑制することができるでしょう。在庫、配送、販売のデータが一元化されるため、情報の透明性が高まり、顧客満足度の向上が期待できます。

グローバルに対応した専門人材の活用

グローバル化に対応し課題を克服するためには、国際ビジネスに精通した人材の育成や、各国の法規制および文化的な違いなども理解しなければなりません。

物流アウトソーシング会社は、国際的な商取引にも精通している企業が多く、各国の規制や税制、物流インフラ、文化についての深い知識と経験を持っています。

国際ビジネスのノウハウがない企業にとって、これらの課題を自力で解決することは難しく、手間と時間もかかります。物流アウトソーシング会社は、複雑なサプライチェーンを管理する能力も持っているため、グローバルにビジネス規模を拡大していくための大きな力になってくれるでしょう。

 

OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社

自社が取り扱っている商品や商材、ビジネス規模によっても商流は異なり、正確に理解しておかなければなりません。

しかし、モノの流れはイメージしやすいですが、取引先やステークホルダーといった関係性を体系的に理解するのは難しく感じる方も多いでしょう。

特に、アパレルやファッション、ジュエリーといった製品を扱う事業者にとっては、納品先が複数にわたることも多く商流が複雑化しがちです。

自社の商流を整理しつつ、流通全体のボトルネックを解消するためには、アパレルやファッション、ジュエリーを専門に扱う物流アウトソーシング会社へ相談するのがおすすめです。

OTSでは多くの企業の物流業務を支援してきた実績があり、商流のどの部分に課題があるのか、それを解決するための具体的なアドバイスやコンサルティングも可能です。

物流でお困りの方、
まずは相談!

 

まとめ

今回紹介してきたように、商流と物流は別の概念であり、それぞれを分離してビジネスモデルを構築することが重要とされています。

自社の商流を理解することはビジネスの基本であり、売上アップや業務の効率化にも欠かせない要素です。

商流を理解するうえではフロー図の作成も有効な手段ですが、あまりにも複雑でうまく作成できない場合には、物流アウトソーシングを依頼することも検討してみましょう。

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「物流からファッション企業を元気にしたいんです・・・」 それって、おせっかいだなと感じます。 でも、そのおせっかいをまじめに、本気で取り組んでいます。 ファッション企業だけに、創業から30年以上多くの企業の物流をサポートしてきました。そこで関わる中で、「もっとこんなことができればと思うんです」 皆様のお役に立つ情報を物流視点から発信いたします。

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