物流における誤出荷やミスの原因とは|改善対策のポイントも解説
物流現場では正確な作業を心がけているつもりでも、さまざまな要因によって誤出荷や出荷ミスが起こることがあります。
システム化や作業プロセスの見直し、改善をしていても、人為的なミスをゼロにすることは難しいものです。
では、そもそもなぜ誤出荷や出荷ミスは起こってしまうのでしょうか。
本記事では、物流現場でよくある誤出荷や出荷ミスの例やその原因、どのような改善対策があるのかも含めて詳しく解説します。
Contents
よくある誤出荷・出荷ミス
物流業務の経験が豊富でノウハウがある企業でも、人間が作業する以上はさまざまなミスが生じることがあります。
よくある誤出荷や出荷ミスとしてどのようなものが挙げられるのか紹介しましょう。
商品の誤出荷
ひとつ目は、商品そのものの誤出荷です。
たとえば、エンドユーザーからAという商品のオーダーを受けていたにもかかわらず、誤ってBという商品を出荷することがこれにあたります。
数量の誤出荷
次によくあるパターンとして挙げられるのが、商品の数量を誤って出荷するミスです。
たとえば、エンドユーザーからAという商品が5個オーダーされていたにもかかわらず、誤って3個出荷することが数量の誤出荷にあたります。
当然のことながら、数量が少ないパターンだけでなく、多いパターンも数量の誤出荷に該当します。
出荷漏れ
出荷漏れとは、商品の発送そのものができていないケースを指します。
たとえば、商品のオーダーを担当者が忘れていたり、オーダーを受けた書類を紛失したりといったケースが考えられます。社内の担当者が出荷漏れに気付くケースもあれば、エンドユーザーからの問い合わせやクレームによって初めて発覚するケースもあります。
宛先の誤発送
宛先の誤配送とはその名の通り、本来の宛先ではなく無関係の宛先へ誤って商品を配送してしまうケースを指します。
特にECサイトや通販で購入した商品などの宛先が誤っていると、勝手に商品を開封され抜き取られてしまうリスクがあるほか、個人情報保護の観点からも重大なクレームに発展する可能性もあるでしょう。
納品書の入れ違い
オーダーされた商品を発送する際には、商品と一緒に納品書も同封するのが一般的です。
しかし、本来の宛先ではない納品書を同封するというミスが起こることもあります。
第三者に自分自身の情報や購入商品などが分かってしまうため、宛先の誤配送と同様に個人情報保護の観点から重大なクレームに発展するリスクがあります。
誤出荷・出荷ミスが起こる原因
誤出荷や出荷ミスの多くは、物流センターや倉庫で作業に従事する作業員の人為的ミスによって起こります。
一口に人為的ミスといっても、その原因を探っていくとさまざまなパターンが存在します。
管理タグやラベルの貼り間違え
管理タグとは、商品の型番やサイズ、重量、納品日などさまざまな情報を記録しておくためのICチップのことです。RFIDとよばれることもありますが、これを専用のICタグリーダーで読み取ることで効率的な物流作業が実現できます。
ただし、管理タグやラベルは該当商品と正確に紐付けてあることが前提であり、タグそのものを貼り間違えてしまうと誤出荷や出荷ミスにつながります。
ピッキング作業のミス
注文伝票をもとに対象の商品をピックアップする作業のことをピッキング作業といいます。
多くの物流現場において、ピッキング作業は人手に頼らざるを得ないのが現状です。
そのため、たとえば注文伝票にはAという商品が記載されていたにもかかわらず、作業員がBという商品をピッキングしてしまうと誤出荷や出荷ミスにつながってしまいます。
宛先伝票の貼り間違え
物流現場や小売事業者によっては、商品を梱包した後は宛先伝票を手作業で貼っているケースも少なくありません。
少量の荷物であれば宛先伝票の貼り間違えが発生するリスクも少ないですが、一度に大量のオーダーが来たときなどは人為的ミスが発生しやすくなります。
システムのエラー
上記で紹介した内容はいずれも人為的ミスの要因として考えられるものですが、実はこれ以外にもシステム上のエラーによって誤出荷や出荷ミスが起こるケースもあります。
在庫管理システムや顧客情報システム、受注管理システムなどにバグがあると、それに気付かないまま出荷し、問い合わせやクレームが届いて初めて発覚することもあり得るのです。
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誤出荷・出荷ミスが起きやすいタイミング
上記で紹介した誤出荷や出荷ミスを防ぐために、多くの物流現場では検品作業や複数人でのチェック体制を構築しています。
最小限の人員・体制で効率的なチェック機能を果たすためには、誤出荷が起こりやすいタイミングを把握しておくことも重要です。
ピッキング作業のタイミング
上記でも解説した通り、多くの物流現場においてピッキング作業は手作業で行われているため、特にミスが起こりやすいタイミングといえるでしょう。
たとえば、繁忙期で多くの注文に対応しなければならないときや、少ない人数で業務を回さなければならない現場、作業員のスキルや経験不足などの条件によってミスが発生しやすくなる傾向があります。
出荷・配送のタイミング
ピッキング作業と同様に、手作業で行われることの多いのが出荷・配送です。
ダンボールや袋に商品を入れた後、配送伝票を貼り間違える、積載すべき荷物をトラックに積み忘れる、配送スタッフが住所や宛先をしっかりと確認せずに届けてしまう、といったミスが考えられます。
誤出荷・出荷ミスが及ぼす悪影響
物流現場における誤出荷や出荷ミスの割合は極めて低い傾向があり、多くの企業でミスを抑止するための対策を講じている結果といえるでしょう。
では、なぜそこまでして誤出荷や出荷ミスの抑止に努めるのでしょうか。
作業効率の低下
誤出荷や出荷ミスが発生した場合、誤配送先のエンドユーザーから荷物を回収し、本来のエンドユーザーへあらためて配送し直すといった作業が必要になります。
メーカーや小売事業者にとっては返品・返送の作業が追加され、物流事業者にとっては配送スタッフの業務負荷が増大してしまいます。
誤出荷や出荷ミスが増えるほど作業効率は低下し、本来の業務に支障をきたす可能性もあるのです。
物流コストの増加
誤出荷や出荷ミスが発生すると、誤配送先のエンドユーザー宅から本来のエンドユーザー宅へと配送し直さなければならないため、倍の物流コストがかかってしまいます。
事業者側のミスであるため、当然のことながらエンドユーザーへ送料を請求することはできず、誤出荷や出荷ミスが増えるほど事業者のコスト増に直結します。
在庫差異の増加
商品の誤出荷や数量の誤出荷などのミスが生じると、在庫情報として登録してあるデータと実際の在庫数量に差異が生じることがあります。
その結果、システム上では在庫があることになっているのに実際の在庫が存在せず、顧客に対して謝罪のメールや返金対応をしなければならなくなったり、棚卸作業の際に多くの時間と確認の手間がかかるケースもあります。
ブランドイメージの低下
誤出荷や出荷ミスが多いと、企業そのもののブランドイメージが低下し顧客離れを引き起こす可能性もあります。
特にECサイトや通販は、繰り返し利用するユーザーも少なくありません。一人のユーザーが複数回にわたって誤出荷や出荷ミスの影響を受けてしまうと、「このお店は信用できない」と感じ二度と注文しなくなることも考えられるでしょう。
個人情報漏洩
宛先の誤配送や納品書の入れ違いが発生すると、第三者に個人情報が知られてしまうおそれがあります。
特にアパートやマンションなどの集合住宅の場合、同じ棟にどのような人が住んでいるのか詳しく知らないという方も多いでしょう。
万が一、部屋番号や異なる棟の住民に荷物が配送されてしまうと、個人情報が悪用され詐欺などの被害に遭う可能性もあります。
物流倉庫における誤出荷・出荷ミスの改善対策
物流現場ではさまざまな業務プロセスのシステム化や自動化が進んでいますが、一方で作業員の手に頼らざるを得ない工程も少なくありません。
誤出荷や出荷ミスを完全になくすことは現実的に考えて難しいかもしれませんが、限りなくミスを抑制するためにはどういった対策が求められるのでしょうか。
入荷とロケーション管理の徹底で対策
ピッキングの人為的なミスをなくすためには、入荷した商品の保管場所を全社で共有しておくことが重要です。
このようなロケーション管理が徹底されていないと、作業員が間違った場所から商品をピッキングする要因となってしまうためです。
作業マニュアルの作成と徹底で対策
誤出荷や出荷ミスが起こる原因として、作業員によってピッキングや出荷、配送の作業手順がバラバラになっていることが挙げられます。
全作業員が同じ手順で作業をすることで作業品質の均一化が実現でき、人為的ミスを最小限に抑えられるでしょう。そのためにも、作業マニュアルを作成し全社で共有・徹底することが求められます。
十分な作業スペースの確保で対策
作業スペースが狭い倉庫や物流拠点で作業をしていると、在庫商品とピッキング済みの商品が混在してしまったり、検品済みの荷物がどれなのかが分かりづらくなったりすることもあります。
このような環境で作業をしていると、非効率化するだけでなく誤出荷や集荷ミスも起こりやすくなることから、十分な作業スペースを確保しておく必要があります。
WMS(倉庫管理システム)の導入で対策
商品の在庫管理や出荷管理を手作業で行っている物流現場では、作業効率が低下するだけでなく人為的なミスも発生しやすくなります。
そこで、商品の入出庫や在庫管理を自動化・効率化するWMS(倉庫管理システム)を導入するといった対策が有効です。物流業務の正確性を担保できるほか、作業の正確性も増すため人為的なミスの削減が期待できるでしょう。
WMSとは?物流における倉庫管理システムの導入メリットを解説
物流業務のアウトソーシング
作業のルール化やマニュアルの作成、WMSなどのシステムを導入したとしても、社内に物流業務のノウハウが不足していると作業そのものに慣れず、ミスが減らないケースも少なくありません。
そこで、このような問題を解消するために、物流業務そのものを社外に委託(アウトソーシング)する方法もあります。
物流業務のノウハウや経験が豊富な専門企業へ委託することにより、人為的ミスの削減はもちろん作業の効率化も期待できます。
物流アウトソーシングの上手な選び方|導入メリットや自社物流との違い
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物流業務のアウトソーシングを検討するにあたっては、ノウハウや経験が豊富な専門業者を選定しなければなりません。
取り扱う商材や商品の特性によっても物流業務のノウハウは異なるため、自社が扱う商材に合わせて専門業者を選ぶことが大切です。
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