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在庫回転率とは?|計算方法、改善方法を紹介|適正在庫との関係性

公開日: : 最終更新日:2023/05/16 ファッション物流

小売事業者をはじめとして、さまざまな商品を扱う企業の売上・利益を最大化するためには、適正在庫を維持することが基本となります。

正しい在庫管理ができていないと不良在庫が発生し、それが損失につながり経営を圧迫することもあるためです。

在庫管理を正しく行うためには、在庫回転率とよばれる指標を参考にする方法があります。

本記事では、在庫回転率とは何か、算出方法や適正在庫との関係性、在庫回転率を向上させるためのポイントなども含めて詳しく解説します。

在庫回転率とは

在庫回転率とは、一定期間において企業や店舗が保有している商品在庫をどれだけ効率的に回転させているかを示す指標です。

1年間の商品在庫をもとに算出するケースが多いですが、企業によっても算出する期間は異なります。

在庫回転率が高いほど、その企業や店舗は効率的に在庫を回転できていることを指し、不良在庫のリスクが低いことを意味します。

ただし、業種や業界によっても適正な在庫回転率は異なるほか、企業の経営戦略や考え方によっても在庫回転率の目安は変わってくることがあります。

たとえば、製造業の場合には製品を作るための原材料や部品などの在庫を多く抱えることもあり、在庫回転率が低いケースが少なくありません。

一方、販売店や卸売業者の場合には、商品を早い段階で売り切ることが重視されるため、一般的に在庫回転率が高いことが理想とされます。

在庫回転率は経営における財務分析で重要な指標の1つとされ、在庫管理の適正化や原材料および商品の調達戦略などに役立てられる場合もあります。

 

在庫回転率の計算方法

では、実際に在庫回転率を割り出すにはどういった方法があるのでしょうか。大きく分けると金額で算出する方法と、在庫の個数で算出する方法があり、今回は両方の計算式を紹介します。

金額での計算方法

金額で在庫回転率を算出する場合には、以下の式に当てはめて計算します。

【計算式】

年間売上高÷平均在庫金額=在庫回転率

上記のうち、平均在庫金額とは期首在庫金額と期末在庫金額の平均値を指します。

具体的にイメージしやすいように、以下の例に沿って計算してみましょう。

  • 年間売上高:1億円
  • 期首在庫金額:2,000万円
  • 期末在庫金額:1,000万円
  • 平均在庫金額:1,500万円 ※(期首在庫2,000万円+期末在庫1,000万円)÷2 で算出

 

冒頭の式に当てはめると、以下の通り「6.66」が在庫回転率となります。

1億円÷1,500万円=6.66

個数での計算方法

では、もう一つの算出方法である個数の場合はどうなるのでしょうか。

こちらも計算式と具体例をもとに紹介します。

【計算式】

年間出庫総数÷平均在庫数=在庫回転率

平均在庫数の算出方法は金額の場合と同じ考え方ですが、個数の場合は金額ではなく商品の数で算出する必要があります。

  • 年間出庫総数:2,000個
  • 期首在庫数:200個
  • 期末在庫数:100個
  • 平均在庫数:150個

 

上記を計算式に当てはめると、以下の通り「13.33」が在庫回転率となります。

2,000個÷150個=13.33

 

在庫消化率との違い

在庫回転率と似た意味をもつ言葉に「在庫消化率」があります。

双方ともに在庫管理の指標として用いられますが、在庫回転率と在庫消化率は以下のような違いがあります。

在庫回転率

一定期間において企業や店舗が保有している商品在庫をどれだけ効率的に回転させているかを示す指標

在庫消化率

一定期間において在庫のうち何%が売上に貢献できたかを示す指標

在庫回転率は年間の売上高や出庫総数を平均在庫で割って算出しますが、在庫消化率は以下のように期末在庫の金額で割って算出します。

年間売上高(または年間出荷数)÷期末在庫金額(または期末在庫数)=在庫消化率

在庫回転率を理解するメリット

物流業務の担当者に在庫回転率に関する知識を身につけてもらうことは、企業にとってどういったメリットがあるのでしょうか。

そもそも倉庫内の在庫を適正量に保つことは、売れ残りのリスクを低減し自社の利益を確保するうえで重要なことです。

しかし、自社にとっての適正な在庫量を算出するためには高度な計算が求められ、担当者の感覚値や勘では正確な数値が割り出せないことも多いのです。

在庫回転率を理解できていれば、どの程度のサイクルで在庫が入れ替わるのか客観的なデータをもとに適正在庫を算出でき、売れ残りのリスクを低減できます。

また、エンドユーザーが求める商品にどういった傾向があるのか、正確な分析もでき、マーケティングの観点からも有用なデータが得られるでしょう。

物流でお困りの方、
まずは相談!

 

在庫回転率を上げるための改善方法

これまで感覚的に適正在庫が維持できていると感じていても、実際に在庫回転率を割り出してみると意外と低い数値であったというケースも多いものです。

では、自社の在庫回転率を向上させるためには、どういった方法・対策が有効なのでしょうか。

代表的な4つのポイントを紹介します。

目標在庫回転率の設定

まずは自社にとって理想的な在庫回転率を割り出し、目標として設定することが大切です。

目標在庫回転率は、目標とする売上額と目標の平均在庫金額を割り出すことで算出できます。

たとえば、1年間の目標売上額が1,000万円、目標平均在庫金額を200万円とする場合には、目標在庫回転率は「5」となります。

【目標在庫回転率の算出方法】

目標売上額÷目標平均在庫金額=目標在庫回転率

こまめに在庫回転率を確認

在庫回転率は1年間をベースに一定期間のデータをもとに算出しますが、目標の水準を維持するためにはこまめに在庫回転率を確認していくことも大切です。

たとえば、半期、四半期、または1ヶ月といった単位で在庫回転率を算出することで、目標値の水準に達しているのか途中経過を把握できます。

もし、月単位や四半期の時点で目標値を下回っていた場合でも、こまめに在庫回転率を確認できていれば臨機応変な軌道修正が可能になるでしょう。

不良在庫を整理

在庫回転率が低下する一つの要因として、長期間にわたって不良在庫が倉庫に滞留しているケースが挙げられます。

「いつか注文が入るかもしれない」、「欠品によって販売機会損失につながるかもしれない」といった不安を抱く担当者も多いでしょう。しかし、あまりにも不良在庫が多いと入荷すべき商品の数量が限られ、在庫回転率が悪化する懸念もあるのです。

また、人手不足などの理由から適正な在庫管理ができておらず、不良在庫が滞留していることに気づいていないケースもあるため、あらためて在庫状況を確認してみましょう。

リードタイムを短縮

リードタイムとは、販売元からエンドユーザーの手元に商品が届くまでの日数のことです。

リードタイムは顧客満足度に直結する大きな要因であり、短ければ短いほどリピート客の獲得につながる傾向があります。

リピート客が増えることは売上も向上することを意味し、それが間接的に在庫回転率の向上にもつながっていくのです。

在庫回転率の計算法の活かし方

在庫回転率を把握することでさまざまなメリットが得られると紹介しました。

どういった活用方法が見込めるのか、物流現場におけるヒントになるような具体例を踏まえて解説しましょう。

在庫の動きを把握する

年間を通して一定の売上が見込める商品もあれば、季節や時期に応じて売上が大きく変動する商品もあります。

また、ある年では爆発的に売れていたのに、トレンドやユーザーニーズの変化などによって翌年以降は売れ行きが低迷する商品もあります。

このような動向を正確に把握するためには、売上データを参考にする方法もありますが、在庫回転率をもとに在庫の動きを把握するといった方法も効果的です。

売れ筋商品の分析

小売業者にとって自社の利益を最大化するためには、売れ筋商品の在庫を多めに確保し、販売機会の損失を最小限にすることが求められます。

在庫回転率が高い商品ほど売れ筋であるという特性があり、売上データと商品ごとの在庫回転率を参考にすることで売れ筋商品の分析にも役立てられるのです。

過剰在庫を把握しコストの削減

上記とは反対に、在庫回転率の低い商品を割り出すこともできます。

極端に在庫回転率の低い商品は過剰在庫であるとも判断でき、これを処分したり返品したりすることで管理コストの削減にもつながります。

 

適正在庫と在庫回転率の関係性

在庫回転率と適正在庫は密接な関係にあるといっても過言ではありません。

冒頭でも説明した通り、在庫回転率が高いほど効率的に在庫を回転できていることを指し、不良在庫のリスクが低い傾向にあるためです。

ただし、あまりにも在庫回転率が高すぎてしまうと、不良在庫のリスクは下がりますが反対に欠品リスクが高まる可能性が出てきます。

これにより、販売機会の損失を生み顧客離れを起こすことも考えられるでしょう。

そのため、一概に「在庫回転率が高い=適正在庫が維持できている」と断言することはできず、目標在庫回転率の水準にあるかどうかで判断する必要があるのです。

 

アパレル商品の在庫回転率

取り扱う商材や企業の経営戦略などによっても目標在庫回転率は変動すると紹介しました。

では、アパレルやファッション製品を例に考えたとき、どの程度の在庫回転率が目安となるのでしょうか。

結論からいえば、アパレル・ファッション製品の在庫回転率は10〜11程度を目安としている企業や店舗が多く、これはほぼ1ヶ月程度で在庫が入れ替わる計算です。

この理由としては、アパレル・ファッション製品は季節によって商品の入れ替え頻度が高く、売れ筋も変化していくためです。

また、トレンドの移り変わりも早く、今年流行していた製品が来年も引き続き売れ筋になるとは限りません。

そのため、シーズンごとに在庫を売り切ってしまうことが経営効率の観点から見ても有効であるためです。

 

OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社

目標水準の在庫回転率を維持することは、経営効率を維持・向上させるためにも重要なポイントです。

しかし、そのためには適正在庫を維持するための在庫管理や物流業務の幅広いノウハウが必要です。

数ある商品のなかでもアパレルやファッション製品、ジュエリー製品などはトレンドの移り変わりが早く、在庫回転率を維持するのは決して簡単ではありません。

そこで、物流業務のノウハウが少なく在庫回転率に課題を抱えている事業者は、物流アウトソーシングの専門会社へ業務を委託する方法がおすすめです。

OTSはアパレルやファッション、ジュエリーといった商材に特化した物流アウトソーシング会社であり、これまで数多くのメーカーや卸売事業者、小売事業者を支援してきました。

自社にとって適正な在庫回転率の算出方法が分からない、適正な在庫回転率を維持できずに困っているなどの悩みを抱えている企業は、ぜひ一度OTSへご相談ください。

物流でお困りの方、
まずは相談!

 

まとめ

在庫回転率を正しく算出し把握しておくことは、不良在庫を減らし経営効率を改善できることはもちろん、売れ筋商品を分析し売上向上に役立てられるといったメリットもあります。

一方で、在庫回転率は一律で正しい数値というものはなく、取り扱う商材や商品の特性、企業の経営戦略などによっても変わってくるものです。

自社にとって正しい在庫回転率を算出し、回転率を向上させていくためには物流業務のノウハウや経験が求められます。

自社にそのようなノウハウがない場合には、物流アウトソーシングの専門会社であるOTSへぜひ一度ご相談ください。

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「物流からファッション企業を元気にしたいんです・・・」 それって、おせっかいだなと感じます。 でも、そのおせっかいをまじめに、本気で取り組んでいます。 ファッション企業だけに、創業から30年以上多くの企業の物流をサポートしてきました。そこで関わる中で、「もっとこんなことができればと思うんです」 皆様のお役に立つ情報を物流視点から発信いたします。

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