ロケーション管理とはどんな管理方法?物流倉庫における役割やメリットを解説
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最終更新日:2023/04/26
ファッション物流, ファッション業界(業界情報)
倉庫業務や在庫管理を効率化するうえで重要な「ロケーション管理」という概念があります。
特に物流業務のノウハウや経験がない企業にとっては、ロケーション管理の方法や種類を理解しておくことが第一歩となります。
そこで本記事では、物流業務を効率的に行うためのロケーション管理とはどういった概念なのか、具体的な方法や種類、生じがちな課題とその解決のポイントなども含めて詳しく解説します。
Contents
ロケーション管理の役割
ロケーション(location)とは、日本語で「位置」や「場所」といった意味を指す言葉です。
物流業界においては、モノを一時的に保管する場所や住所という意味で使われることが一般的です。
すなわち、ロケーション管理とは、どこに何を保管しているのかをデータとして管理することを指します。
物流企業が有している倉庫は大規模なものが多く、広大なエリアの中から目的の商品を探し出すためにはロケーション管理が欠かせません。
少ない品目と量の商品を扱う場合であれば、紙に倉庫内の地図を作成し配置図を記載することも可能ですが、倉庫の規模が大きくなるほどそのようなロケーション管理では非効率的になってしまいます。
そこで、商品ごとにコードを割り当て、目的の商品を検索したときにロケーションを瞬時に把握できるようにしておく方法が一般的です。
ちなみに、倉庫内のレイアウトを地図のように表したものをロケーションマップとよびます。
倉庫管理と在庫管理との違い
ロケーション管理は倉庫管理とよばれる業務のひとつに該当します。
倉庫管理とは、倉庫内にどういったモノがどこに保管されているのかを把握するとともに、ピッキング作業に必要な人員や設備の管理なども行うことを指します。
また、倉庫では新たな商品の入荷や出庫作業もあることから、これらの業務を効率化することも倉庫管理にあたり、コストの削減や物流のリードタイム短縮などを実現するうえでも不可欠です。
倉庫管理と似た業務として在庫管理がありますが、厳密にいえば両者は異なる概念です。
在庫管理とは、倉庫内にある在庫状況の把握はもちろんのこと、入荷と出荷の状況もリアルタイムで管理することを指します。
倉庫管理の業務は在庫管理のなかに含まれますが、在庫管理の目的としてはつねに適正在庫を確保し利益を最大化することが挙げられます。
ロケーション管理を行うメリット
物流企業においてロケーション管理を行うメリットは、冒頭でも紹介したようにモノの保管場所を把握できることです。
ロケーション管理ができていない倉庫では、モノが雑然と積まれた状態になり、目的の商品を探し出すために倉庫内を歩きまわらなければなりません。
その結果、ひとつの商品をピッキングするために時間を要し、いくら人手があっても足りなくなってしまうでしょう。
長年同じ職場で働いている熟練者であればすぐに商品を見つけ出すこともできますが、そのような属人化した職場では高い生産性を維持し続けることは難しいものです。
適正なロケーション管理を行うことによって、誰でも簡単に素早いピッキング作業を実現できるようになります。
シングルピッキングのメリットとは|トータルピッキングとの違いも
ロケーション管理の方法
ロケーション管理の基本的な方法としては、まず倉庫内をいくつかのエリアに区分し、数字やアルファベット、記号などの目印をつけて管理します。
これは倉庫内の住所のような目印になるため、連番のようにわかりやすい順番で割り当てることが基本となります。
そのうえで、倉庫に商品が入荷されてきたら、その商品にロケーションの番号やアルファベットなどのデータを紐付けておきます。
ロケーション管理を行う際には、取り扱う商品の大きさや形状に応じて平置きまたはラックが活用される場合もあります。
たとえば、家電や家具などの大きなサイズの商品はラック収納が難しいため、平置きが選択されるケースが多いです。
一方、アパレル製品や雑貨、小物類などは、スペースを有効に活用するためラックへ収納する方法が用いられます。
また、ラックを活用するメリットとしては、収納スペースを有効に活用できること以外にも、ピッキングのために移動する距離が少なく作業がしやすいため、生産性を向上できることも大きなポイントです。
ロケーションの種類
上記で紹介したように、ロケーション管理には平置きとラックという2つの方法に分けられますが、商品を保管する方法をさらに細かく分類していくと以下の3つの種類があります。
固定ロケーション
固定ロケーションとは、商品に応じて保管場所をあらかじめ決めていく管理方法です。
たとえば、アパレル製品の場合はTシャツや下着は倉庫内の入口付近、コートやジャケットなどは入り口から離れた場所に保管しておくなど、シンプルで分かりやすい管理方法といえるでしょう。
固定ロケーションを採用するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
①スタッフが保管場所を覚えやすい
②作業に慣れてくると効率が上がりやすい
③在庫状況がひと目で分かる
デメリット
①保管スペースにムダが生じることがある
②売れ筋商品の変化などに合わせてレイアウト変更が求められる
フリーロケーション
フリーロケーションとは、空いているスペースやラックに商品を保管していく管理方法です。
固定ロケーションのように商品ごとに保管スペースが固定されていないため、一見すると作業効率が低下するように感じられますが、倉庫管理システム上でデータを管理することでそのようなデメリットを解消できます。
フリーロケーションのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
①狭いスペースも有効に活用できる
②レイアウト変更が不要で手間がかからない
デメリット
①倉庫管理システムがないとピッキング作業に時間を要する
②ピッキング作業時に移動が多く時間がかかることがある
ダブルトランザクション
ダブルトランザクションとは、倉庫内にピッキング専用のエリアと商品を保管するストック専用のエリアを設けて管理する方法です。
ピッキング専用エリアでは作業がしやすいように固定ロケーションで在庫を管理し、ストックエリアではスペースを有効に活用するためにフリーロケーションで管理しておきます。
ダブルトランザクションのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
固定ロケーションとフリーロケーションのメリットを両立できる
デメリット
①ストックエリアからピッキングエリアへの在庫の補充作業が必要
②フリーロケーションよりも広い倉庫スペースの確保が必要
ロケーション管理の課題点
さまざまなロケーション管理方法を実践したとしても、あらゆる物流企業にとって必ず成功するとは限らず、問題点や課題点が見えてくることもあります。
どういった点が課題点として挙げられるのか、代表的な2つのポイントを紹介しましょう。
ピッキングの効率と保管スペースの効率を両立することが難しい
上記で紹介したように、ピッキングの作業効率を重視する場合には固定ロケーションが、在庫の保管効率を重視する場合にはフリーロケーションが最適な管理方法といえます。
しかし、ピッキング効率と保管効率は相反するものであり、どちらかを優先すればもう一方が犠牲になってしまいます。
両者のメリットを活かしたダブルトランザクションを採用すれば、バランスのとれたロケーション管理が実現できますが、それでもストックエリアからピッキングエリアまでの補充作業が新たに発生するなど、作業効率に多少の犠牲が伴います。
レイアウト変更による作業効率の一時的な低下
倉庫に十分なスペースがある企業や、そもそも取り扱う商品の種類や数量が限られている場合には、作業効率を優先する固定ロケーションが有効といえるでしょう。
しかし、一度設定したロケーションのままで固定できるとも限らず、季節や売れ筋商品の変化などに合わせて倉庫内のレイアウト変更が求められることがあります。
たとえば、アパレル製品を取り扱う倉庫の場合、夏場はTシャツや下着などが、冬場はトレーナーやパーカー、コートなどの製品が多く売れるためです。
商品の保管場所が変わるということは、そのたびにスタッフが場所を覚え直さなくてはならず、作業効率が一時的に低下する原因になります。
ロケーション管理をより効率的に行うポイント
さまざまな課題が生じがちなロケーション管理ですが、これらを解決するためにはどういった対策が有効なのでしょうか。
まずは、現在採用しているロケーション管理方法が自社に適したものであるかを見直し、必要に応じて管理方法を変えてみることが基本といえます。
たとえば、商品の種類や数が少ない場合や、年間を通じて売れ筋商品がほとんど変わらない場合には固定ロケーションが適しています。
反対に、新商品が頻繁に登場し在庫数の変動が大きい場合には、フリーロケーションでの管理が理想といえるでしょう。
ただし、単にロケーション管理の方法を変更しても、人手不足やコスト高などによって根本的な解決にはつながらない場合も少なくありません。
そのような場合には、倉庫管理システム(WMS)や在庫管理システム、ハンディターミナルなどのツールもうまく活用しながら、より効率的に管理する方法を検討してみましょう。
OTSはオリジナル物流倉庫管理システム(WMS)を提案
物流会社のなかには、ロケーション管理の課題を解決するために倉庫管理システム(WMS)の導入もあわせて支援している企業もあります。
倉庫管理システムとは、入荷・出荷管理や在庫管理、棚卸管理などの機能がひとつのパッケージにまとめられたものです。
数ある商材のなかでも、アパレル製品はカラーバリエーションやサイズが豊富なため、ロケーション管理が煩雑になりがちです。
そこで、OTSではアパレル・ファッション物流に特化したオリジナルの倉庫管理システムを提供しています。
たとえば、修理や検品、サンプル貸し出し中といった特殊ステータスにも対応でき、複数の在庫場所を設定したり在庫場所を自由に移動したりすることも可能です。
さらに、仕入先のメーカーに対して商品の返品が必要な場合や、棚卸が必要な場合にも資産を管理する専用のメニューを用意しています。
OTS独自の倉庫管理システムを活用することで、アパレル製品のロケーション管理に不安を感じている企業も安心してサポートを受けられるでしょう。
まとめ
膨大な量の商品在庫を倉庫で管理するために、ロケーション管理は重要な業務のひとつです。
商品の種類や量が増えるたびに倉庫管理は複雑化し、ピッキングに時間を要することもあるでしょう。
しかし、ロケーション管理が適正に行われていれば商品発送までのリードタイムを短縮でき、顧客満足度の向上にも貢献できます。
アパレル製品を取り扱う企業や店舗にとっては、倉庫管理システムを活用することでロケーション管理の適正化が図れるようにもなるはずです。
物流ノウハウがなく不安を感じている企業は、ぜひ一度OTSへご相談ください。

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