QCブログ:染色堅牢度について
公開日:
:
最終更新日:2023/05/17
品質管理修理
おはようございます。
今回は、品質管理を担当している嶋村が社内向けに発信したQCブログをお届けさせて頂きます。
今回は、製品クレームにもよく登場する、染色堅牢度についてのお話です。
染色堅牢度とは「染料で染色された生地のいろいろな作用に対する染色の耐久性、抵抗性のこと」簡単にいえば色落ちのしにくさの事です。
1~5級の数値で○級とか○-△級といった表現で変退色と汚染(色移り)を表現します。1級が一番悪い状態で数値が上がるほど良い状態を表しています、最上位が5級で5級が最も良い状態です。
OTSでは現在、数社のインポートメーカーと取引があり、そのインポートブランドを扱っている各社の悩みのひとつに染色堅牢度の弱さ、色落ちの問題があります。
原産国ではイタリア製がもっとも入荷数が多いと思うのですが、そのイタリアと日本の違いについてお話ししたいと思います。
イタリアと日本の相違点
・気候 ・水 ・染色の技術と考え方
大きく分けると以上の3点です。
最初に気候ですがヨーロッパは夏でも乾燥して、からっとしているので暑くても乾いているからあまり汗をかかない。
日本の高温多湿の気候と比べると湿度が低いためイタリアの染色は染色堅牢度を日本のようにあまり気にする必要がないのです。
国によって衣生活は気候にかなり影響されますね。
次に水です染色は水が重要になりますが、ご存じの方もいると思いますが水には硬水と軟水があります。
水分中のミネラル分量(マグネシウムとカルシウム)の多いのが硬水、少ないのが軟水です。
ヨーロッパや北米はおおむね硬水で日本は軟水です。
染色では硬水は色の発色はいいのですが染まりにくいのです。
逆に軟水は色の発色はよくないが染まりやすいという性質があります。
イタリアは硬水なので染色堅牢度が悪くなってしまいます。
また洗濯でも硬水は洗剤が溶けづらく泡立ちもよくありません。
従いまして汚れが落ちにくいです。
軟水はその逆ですから洗濯には日本の軟水の方がずっと洗濯に向いています。
ちなみに硬水は洋食に向いていて軟水は和食向きです。
う~ん、硬水はミネラルウォーターで飲むには体にいいが、ちょっと扱いにくい水ですね。
最後に染色の技術とその考え方についてですが、ヨーロッパと日本では染色で求めているものが違います。
日本は染色堅牢度を優先します。
しかしそれを強く求めれば発色が悪くなってしまいます。
ヨーロッパは染色堅牢度よりも鮮やかな発色の色彩が重要であると考えています。
そのような染色に対する考え方の違いは、例えばイタリアだとイタリアは温暖な気候のラテン民族の国で、感性が豊かでデザインや色彩感覚に優れていますが、お国の気質柄か生地や洋服作りにやや甘いところがあります。
染色工程では染色後に実施する後処理(染色堅牢度を上げる加工)が十分でないものが多いのも事実です。
以上の様に、それぞれの国の風土や文化の違いが洋服の染色に出ていて、インポート製品を扱う上での難しさがそこにあるように感じます。
次回もみなさんの役に立つ情報を発信していきたい!という事なので不定期になりますが、代わりにお届けさせて頂きます。
OTS マーケティング部
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