皮革、合皮製品の表示について
※今回はOTSの品質担当より
革の品質の表示についてご案内しています!
みなさん
こんにちは品質管理の嶋村です。
今回はなにかとクレーム発生頻度の高い皮革、
合皮を使用した製品の表示について
現在制定されている法律を分かり易く書いてみました。
繊維業界では秋冬に使用頻度が多くなる、
皮革や合皮素材ですが
その素材のデメリットからクレーム発生確率の高い素材でもあります。
ではどのような問題点があるのかというと
主に以下のような事柄になります。
【皮革】
・なめしや加工の仕方にもよるが染色堅牢度が弱いものが多い。
・特にスエード革はケバ落ちによる色落ちが銀面革(表革のこと)に比べて顕著であることが多い。
・一部の加工革を除いて水に弱い。
・カビが発生しやすい。(皮革はカビにとって最高の温床です。)
・熱に弱く高温に晒すと革が収縮、硬化してしまう。
・日光や蛍光灯の光を長時間あてると変色することがある。
【合成皮革】
・摩擦による色落ちが発生しやすい。(濡れるとより顕著になることが多い)
・皮革よりも熱に弱く高温に晒すと収縮、変形、変色することがある。
・光の作用による色焼けがおきやすい。
・経年劣化が他の素材に比べて非常に早く進みます、
素材生産時から3~5年ぐらいで剥離やべとつき感が出てくることがある、
注意することは製品購入時からではなく素材生産時から経年劣化がすでに始まっているということです。
エンドユーザーが製品購入から1年で合皮が剥離したなどという
クレームが発生するのはこのためでセール品(旧品)の販売には特に注意が必要になります。
以上のように
問題点が多い皮革や合皮製品には
法律や条例で表示方法や注意喚起が
以下のように定められていますので覚えておいてください。
【洋服】
皮革又は合皮(人工)皮革を全部又は一部に使用した衣料品は
適正な品質表示をしなければなりません。
これは繊維製品品質表示規程及び雑貨工業品品質表示規程によるものです。
対象となるもの・・・衣料品全般
注意点としては
布地の場合は、一部使用の別地の場合は全体面積の5%を超えるものだけが対象になりますが
皮革、合皮の場合は面積の大小を問わず表示義務が発生します。
従いましてジーンズの革ラベルは表示が必要です。
ただし、付属品の一部として使われているようなものは除外されます。
(例・・・ファスナーの引手やスピンドルのストッパーなど)
表示事項
牛の革・・・牛革
羊の革・・・羊革
鹿の革・・・鹿革
豚の革・・・豚革
馬の革・・・馬革
山羊の革・・・やぎ革(やぎ革はひらがなで表示する)
その他の革・・・通称の用語
基材が特殊不織布以外のもの・・・合成皮革
基材が特殊不織布のもの・・・・・人口皮革
取扱い上の注意
洗濯ネームの付記用語かアテンションカードで以下のような内容を表記すること。
・色落ち、硬化又は劣化に関する注意事項
・保存、手入れ方法に関する注意事項
・アイロン掛けに関する注意事項
【カバン】
表面積の60%以上に銀付革の牛革、馬革、豚革、羊革、やぎ革を使用している
旅行かばん、事務用かばん、ランドセルなどは以下の様な表示義務があります。
皮革の種類・・・牛革、馬革、豚革、羊革、やぎ革
上記以外の皮革(トカゲ、ヘビ、ワニ等の爬虫類など)は家庭用として一般的ではないため、同法の対象にはなりません。
またアイテムでは財布、袋物、ハンドバッグも対象外です。
手入れ方法及び保存方法の表示
・素材にあったクリーナー、クリームや中性洗剤などで手入れをする旨。
・濡れた時は陰干しで乾かす旨。
・保存する時は、湿度の高い場所を避ける旨。
消費者の見やすい箇所に
わかりやすく表示した者の名称、住所及び電話番号を付記し
責任の所在を明確にすることとなっています。
【靴】
甲に合成皮革、本底にゴム、合成樹脂又はこれらの混合物を使用したものは以下の表示義務があります。
甲皮として使用する材料名を「合成皮革」と表示する。
底材の表示はゴム材料(天然ゴム、合成ゴム、両者を混合したゴム)を用いている場合は
「ゴム底」、合成樹脂又は合成樹脂とゴムとの混合物を用いている場合は「合成底」と表示する。
取扱い上の注意
次に掲げる事項を製品の品質に応じて適切に表示する。
・甲皮の汚れをとるためには、水で濡らした布を用い、靴クリーム等の保革油を用いる必要がない旨。
・火のそばに置くと、軟化又は変形することがある旨。
・油をひいてある場所での使用はなるべく避ける旨。
表示した者の名称、住所及び電話番号を付記し責任の所在を明確にして
靴ごとに下げ札やラベルの貼り付け等、靴本体から容易に離れない方法で行うこと。
★☆皮と革の違いについて☆★
動物から剥いだままの皮を「原皮」と言いますが一般的にこれを「皮」と呼んでいます、
原産地から送られてくる皮は腐らないようにするために
乾燥、塩付けにした状態ですが、この皮を柔らかくしたり、色付けしたりする加工をなめしといいますが、
そのなめしの加工が終了したものが革となります。

OTS マーケティング部

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