自動倉庫の導入事例やメリット・デメリットを紹介|アパレル向き?
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ファッション物流
物流現場では深刻な人手不足が続いており、サービス品質の低下が懸念されています。
そのような中で、人手不足を解決するソリューションとして注目されているのが自動倉庫システムです。
本記事では、自動倉庫とは何か、導入することでどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説するとともに、自動倉庫の導入事例も紹介します。
Contents
自動倉庫とは
自動倉庫とは、物流作業のなかでも特に手間とコストのかかる「保管」と「仕分け」、「ピッキング」の作業を機械やシステムによって自動化した倉庫のことをいいます。
物流現場では深刻な人手不足に陥っており、従来のような手作業に頼っていては業務が回らない現場も少なくありません。
少子高齢化にともない、今後も人手不足はさらに深刻化していくことが予想されているため、物流業界において自動倉庫は大いに注目されているソリューションのひとつです。
自動倉庫の種類
一口に自動倉庫といっても、大きく6つの種類に分けられます。
どういった種類があるのか、それぞれの違いについて解説しましょう。
パレット型
パレット型とはその名の通り、物流現場で広く使用されているパレット単位で在庫を保管するシステムです。
高層ラックにパレットごと保管する方式で高さを活かせるため、限られたスペースでも効率的に在庫を保管できるメリットがあります。
また、吹き抜け型の倉庫スペースへパレット型の自動倉庫システムを導入すれば、フロアが異なっていてもシームレスに荷物を移動でき、作業効率の大幅な向上が期待できるでしょう。
パケット型
パケット型とは、パケットとよばれるコンテナ単位で荷物を保管・管理するシステムのことです。
荷物の形状やサイズが異なる場合でも、パケットに入るものであれば効率的に収納でき、入出庫のスピードアップにもつなげられます。
移動棚
移動棚とは、在庫を保管するための棚を移動できるタイプのシステムのことです。
通常、保管用の棚は一定の場所に固定しておくケースが多いですが、移動棚を採用すれば通路や一時的に空いたスペースにも在庫を保管できます。
保管スペースが狭く収まりきらない場合なども、移動棚を活用すれば問題を解消できる可能性があるでしょう。
縦型式回転棚
縦型式回転棚はロータリーストッカーともよばれ、棚が上下方向に回転するシステムのことです。
倉庫の天井空間を有効に活用できるほか、高い場所の在庫を取り出す際にも取り出しやすい位置まで棚を移動できるため、作業の負荷を軽減できます。
傾斜式流動棚
傾斜式流動棚はフローラックともよばれ、棚に傾斜がついたシステムのことです。
棚の裏側から在庫を補充することで、傾斜によって商品が自動的に手前側に移動する仕組みになっています。
冷凍・冷蔵対応型自動倉庫
冷凍・冷蔵対応型自動倉庫とは、その名の通り冷凍・冷蔵設備が整備された自動倉庫のことです。
生鮮食品をはじめとして厳格な温度管理が求められる商品を扱う場合に欠かせない倉庫といえるでしょう。
アパレルに特化した倉庫とは|品質管理の方法や選び方のポイントを解説
自動倉庫のメリット・デメリット
自動倉庫の導入にあたっては、メリットとデメリットを十分に比較しておくことが大切です。そ
れぞれポイントに分けて解説しましょう。
自動倉庫のメリット
自動倉庫のシステムを導入するメリットは主に以下の3点です。
作業効率化・生産性の向上
これまでの倉庫は、在庫の入出庫作業やピッキング作業などを作業員の手で行ってきました。
しかし、自動倉庫のシステムを導入することにより、作業員の人手に頼ることなく倉庫作業を自動化でき、業務効率化と生産性の向上が期待できます。
人為的ミスの削減
作業員の手作業に頼らざるを得ないということは、その分人為的なミスも発生することになります。
作業に慣れたベテランの作業員でも人為的ミスをゼロにすることは難しく、ミスが発生するたびに作業の手戻りが生じてしまいます。
しかし、自動倉庫システムを導入すれば、機械によって作業が自動化できるため人為的ミスの削減が期待できます。
保管スペースの有効活用
自動倉庫システムのなかには、上記でも紹介したように縦型式回転棚や移動棚のように、空いたスペースを効果的に無駄なく効果的に活用できるものもあります。
倉庫の天井に近い空間や通路なども、自動倉庫システムを導入することで作業の邪魔になることなく有効に活用でき、保管コストの節約に繋げられるでしょう。
自動倉庫のデメリット
自動倉庫にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。主なポイントは以下の2点です。
設備投資が高額
もっとも大きなデメリットとして挙げられるのは、設備投資が高額であることです。
通常の倉庫であれば什器や棚などを平面に置くだけで済むため、導入費用は比較的安価で済みます。
しかし、自動倉庫では特殊な機器や設備、システムなどを導入しなければならず、その分費用も高額になりがちです。
そのため、導入にあたっては十分な費用対効果が得られるか、導入コストを回収できるかもシミュレーションしたうえで決めることが大切です。
停電やシステム障害などのリスク
自動倉庫はシステムによって自動化された機器や設備が多く存在します。
だからこそ、停電やシステム障害などのトラブルが発生した場合、大きな損失を受けるリスクが考えられるのです。
たとえば、パレット型や縦型式回転棚などは、システムそのものが動かなくなってしまうと在庫が取り出せず、物流業務が停滞することも考えられるでしょう。
一方、従来の倉庫であれば、システムが停止しても手作業で進められるため、災害時のリスクが少ないという側面があります。
自動倉庫の導入費用
自動倉庫にはさまざまなシステムや機器類が導入されるため、通常の倉庫に比べて高額な導入費用がかかります。
倉庫の規模やどのようなシステムを導入するのかによっても費用はまちまちですが、坪単価で換算すると20〜30万円程度が相場となっています。
ただし、これは自社で物流倉庫を取得・建設した場合のコストであり、多くの事業者は倉庫を賃貸として借りるケースが一般的です。
自動倉庫を賃貸として借りる場合、システム利用料や業務管理費などが相場よりも高くなる可能性があるでしょう。
一般的な倉庫の場合、システム利用料は2〜5万円程度、業務管理費も1〜5万円程度ですが、自動倉庫の場合はこれに数万円程度が上乗せされる場合があります。
自動倉庫の耐用年数・法定点検
自動倉庫の導入にあたっては、各種設備や機器類などの耐用年数を把握しておくとともに、法定点検も実施しておかなければなりません。
自動倉庫の耐用年数
自動倉庫のシステムである移動式のラックやクレーンなどは、8年から12年と決められています。
これはあくまでも税法上の耐用年数に過ぎず、機器やシステムそのものの寿命ではありません。
自動倉庫に義務付けられている法定点検
自動倉庫で使用するクレーン設備は、厚生労働省令の「クレーン等安全規則」によって、つり上げ荷重に応じて性能検査と自主検査が義務付けられています。
人荷昇降式クレーン | 荷昇降式クレーン | |
500kg未満 | 対象外 | 対象外 |
500kg以上1,000kg未満 | 自主検査 | 自主検査 |
1,000kg以上3,000kg未満 | 性能検査 | 自主検査 |
3,000kg以上5,000kg未満 | 性能検査 | 性能検査 |
5,000kg以上 | 性能検査 | 性能検査 |
上記のうち、自主検査とはワイヤーロープやチェーンの損傷有無、電気系統の異常の有無などを調べるものです。
また、性能検査とは労働基準監督署へ申請のうえ専門の検査員によって行われる検査です。
性能検査は2年または3年の有効期間があり、期間内に検査を受け更新していかなければなりません。
自動倉庫の導入事例
どのような現場で自動倉庫は活躍しているのか、導入事例を紹介しましょう。
化粧品製造工場へのパレット型自動倉庫の導入
ある化粧品メーカーでは、パレット型の自動倉庫を運用しています。
パレットチェンジャーとよばれる設備を導入しパレットの載せ替え作業を自動化したことで、作業効率化はもちろんのこと、衛生面を向上することにも成功しました。
小売事業者の物流センター内へ大規模自動倉庫システムの導入
カー用品を扱う小売事業者では、物流センターの機能を強化するために大規模な自動倉庫システムを導入しました。
パレット型自動倉庫システムと高速移動が可能な搬送台車を組み合わせ、高さ30mにもおよぶ建屋一体型のラックシステムを構築。
さらに倉庫内を移動する搬送台車は、耐久性をアップさせるためにモーターやレール、車輪などの各部材を見直し、数十年にわたって安定的に運用できるようにしました。
自動倉庫を選ぶときのポイント
自動倉庫を選ぶ際には、自社の物流規模や内容に合わせて検討しなければなりません。
特に押さえておきたい3つのポイントを紹介しましょう。
倉庫の広さや間口の幅・高さ
自社が取り扱う商品の種類や売上の規模などに応じて、十分な保管スペースがあるかを確認しておきましょう。
将来的に売上がアップし物流のボリュームが増えたり、反対に物流量が減少する可能性もあることから、そのような変動に臨機応変に対応できるかどうかも確認しておくことが大切です。
コンベアやラックのレイアウトが可能か
自動倉庫システムを構築する場合には、倉庫内にコンベアや移動式のラックなどを配置する必要があります。
単に荷物を保管しておくだけでなく、作業のしやすいシステムのレイアウトを検討しなければならないため、倉庫の広さや形状、天井までの高さが十分確保されているか確認しておきましょう。
WMSなどのシステムが自社物流とマッチするか
自動倉庫の大きな役割のひとつとして、物流システムによる管理の自動化があります。
倉庫によっても提供されているシステムは異なるため、システムの使い勝手や操作性、自社が扱う物流に対応できるかどうかも確認しておきましょう。
WMSとは?物流における倉庫管理システムの導入メリットを解説
自動倉庫以外で物流におけるアウトソーシングはある?
自動倉庫は製品があらかじめパッケージングされている場合、パレットやコンテナ、ラック単位での移動を自動化でき、業務効率化を実現します。
しかし、なかには商品タグの付け替えや、商品の補修作業をしなければならないケースもあり、このような流通加工は人手に頼らざるを得ないのが現状です。
多くの人手と手間を要する作業であることから、これらを委託する場合には物流アウトソーシングの専門会社へ相談するのがおすすめです。
物流アウトソーシングの上手な選び方|導入メリットや自社物流との違い
OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社
商品タグの付け替えや補修作業が必要な商品の代表格がアパレル製品やファッション小物などです。
これらの商品は、同じ品目でも複数のカラーバリエーションやサイズが存在するため、それぞれに合った商品タグを付けなければなりません。
また、出荷前の検品作業でボタンやホックなどにほつれが見つかった場合、その場で補修作業も行う必要があります。
このような作業は機械による自動化が難しいことから、アパレル物流を専門に扱うアウトソーシング会社へ依頼する必要があるのです。
OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社であり、きめ細やかな物流加工の作業にも対応できます。
また、自社に適した自動倉庫システムの選定やコンサルティングなども可能であり、これまで多くのアパレルメーカーや卸売事業者、小売事業者へサポートをしてきた実績があります。
まとめ
人手不足が深刻化する物流業界において、自動倉庫の導入は有効な方法のひとつであり、大幅な省人化と業務効率化が期待できます。
一方で、自社物流のノウハウが蓄積されないなどのデメリットがあることも事実です。
また、特にアパレル製品やファッション小物などを扱う物流現場では、流通加工の作業も必須であり、これは自動倉庫では解決できない課題といえるでしょう。
限られたスタッフで物流体制を構築しなければならない場合には、ぜひ一度物流アウトソーシング専門会社へご相談ください。

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