物流業界におけるラストワンマイルの課題点とは?改善策も紹介
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最終更新日:2023/04/26
ファッション物流, ファッション業界(業界情報)
現在はインターネットで手軽に買い物ができる時代ですが、それにともない物流企業で扱う荷物の量も増えています。
物流業界では近年、「ラストワンマイル」というキーワードが多く登場するようになり、課題解決に向けたさまざまな取り組みがなされています。
物流業界全体が今後成長していくためには、ラストワンマイルの改善は必須になっていくでしょうか。
本記事では、物流業界におけるラストワンマイルの意味はもちろんのこと、具体的にどういった課題を抱えているのか、それを解決するための方法や取り組みなども詳しく解説します。
Contents
物流におけるラストワンマイルとは
物流業界におけるラストワンマイルとは、配達の最終拠点からエンドユーザーの手元まで届ける区間を意味する言葉です。
たとえば、ECサイトから注文された商品をエンドユーザーの手元まで届ける場合、メーカーや店舗が最寄りの配達拠点に集荷を依頼し、いくつかの物流拠点を通過して最寄りの配達拠点に到着し、そこからトラックやバイク、自転車などでエンドユーザーの手元に届けられます。
この最後の区間をラストワンマイルとよびます。
ラストワンマイルという言葉を直訳すると、最終の1マイルという意味になりますが、数字としての距離を指す言葉ではないため注意しましょう。
ちなみに、本来ラストワンマイルという言葉は通信業界で用いられてきましたが、現在では物流業界における一般的な言葉として定着しています。
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物流業界におけるラストワンマイルの課題点
ECサイトやネットオークション、フリマアプリなど、インターネットを利用した売買の手段が多様化したこともあり、個人宅への荷物の取扱量は増加傾向にあります。国土交通省の調べによると、2018年度時点での宅配便取り扱い実績は40億個以上となっており、2013年度と比較して18.4%も増加した計算になります。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001354692.pdf
荷物の取扱量が増えれば、売上や収益も増加し物流業界全体が活性化していると考えることもできますが、じつは必ずしもそうとは限りません。
物流業界におけるラストワンマイルの課題として挙げられる代表的な3つのポイントを紹介しましょう。
深刻な人手不足
日本は業種を問わず人手不足の状況にありますが、とりわけ物流業界ではその傾向が顕著です。
荷物の配達を行うドライバー、スタッフの労働環境は決して良好とはいえず、肉体的にも厳しい仕事のため労働者が集まりにくい状況にあります。
配達拠点では限られた人員で業務を回さなければならず、慢性的な長時間労働に陥るケースも少なくありません。
特に年末や夏の季節は、お歳暮・お中元を贈る家庭も多いことから人手不足に拍車がかかり、予定日に荷物を配達できないといったことも起こり得ます。
配達ニーズの多様化
ECサイトやネットオークション、フリマアプリなどで商品を購入したユーザーは、休日や仕事から帰宅した時間帯などに合わせて配達日時を指定するケースがあります。
しかし、そのようなニーズが増えるほど、物流企業にとっての負担も増加することになります。
配達日時が指定された荷物は優先的に対応しなければならず、万が一配達の遅れが生じるとエンドユーザーからのクレームや苦情が発生することも考えられます。
その結果、ラストワンマイルの配送を担うドライバーやスタッフにとっては精神的な負担も増大するでしょう。
再配達の増加
ネット通販のようにエンドユーザー自身が受け取り日時を指定できる品物ばかりとは限らず、お中元やお歳暮のように配達日時の指定がない荷物もあります。
このような場合、配達スタッフが訪問した際に必ずしもエンドユーザーが在宅中とは限らず、再配達をしなければならないこともあるでしょう。
再配達の荷物が増えるほど、ラストワンマイルを担うドライバーやスタッフにかかる負担も増大し配送効率が低下していきます。
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ラストワンマイルの改善に向けた企業の取り組み事例
物流業界において大きな課題となっているラストワンマイルについて、改善するために企業はどういった対策や取り組みを講じているのでしょうか。
代表的な取組事例をいくつか紹介しましょう。
配送管理システムの導入
配送管理システムとは、効率的な物流を支えるためのシステムのことを指します。
たとえば、配送する荷物の量や配送先をもとにドライバーを配置したり、効率的な配送ルートなどもシステム上で自動的に算出できます。
日々の配送データを蓄積していくことで、燃料代や移動距離、運賃などもシステム上で管理できるようになり、経費削減にも貢献します。
配送管理システムには独自の専用システムとして構築するオンプレミス型のものもあれば、デバイスを問わず手軽に導入可能なクラウド型のシステムも選択できます。
「置き配」への対応
再配達にかかる負荷を軽減するために、大手物流企業でも取り入れはじめたのが「置き配」とよばれるサービスです。
通常、宅配便はエンドユーザーへ直接手渡しをするのが基本ですが、置き配は玄関前などに荷物を置くだけで配送を完了できます。
これにより、エンドユーザーが不在であっても再配達の必要がなくなり、物流企業にとっては配送効率の大幅な改善が期待できるでしょう。
また、コロナ禍によって人との接触が避けられるようになったことも、置き配が普及するきっかけのひとつになりました。
配送工程の分担
配送にかかる工程を物流企業がすべて引き受けるのではなく、荷主と一部の工程を分担する取り組みも行われています。
本来、荷物を集荷したあとは物流企業で配送先に応じて仕分けを行い、最寄りの拠点や営業所などに輸送しエンドユーザー宅まで配送するという流れが一般的ですが、荷主側で配送先に応じた仕分けを行い、それぞれ別の営業所に荷物を持ち込むことで配送効率が向上します。
物流企業にとっては業務の負荷が軽減する一方で、荷主にとっても運賃の割引が適用されるため経費削減につながるメリットがあります。
提供する付加サービスの検討
多様な配送ニーズに応えるために、これまで物流企業では時間帯指定や電話による集荷受付などさまざまな付加サービスを提供してきました。
しかし、人手不足の状況下では従来のサービス品質を保つことが難しくなるため、これらの付加サービスの内容を絞り込んで提供するケースもあります。
たとえば、従来2〜3時間おきに指定できていた時間帯指定を「午前」または「午後」の2つに選択肢を絞り込んだり、集荷受付は大口の荷物や法人に絞り込むなどの対策も考えられるでしょう。
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ラストワンマイルを改善するために物流業界が取り組むべきこと
ラストワンマイルはエンドユーザーへの影響が特に大きいため、課題を放置したままの状態にしておくと顧客満足度が低下することも考えられます。
その結果、他社へ顧客が流れてしまい、物流企業の売上や収益にも影響がおよぶリスクもあるでしょう。
重要なのは、ラストワンマイルについてどういった課題があるのかを正しく認識し、それを解決するための具体的な手段や方法を検討し実行していくことです。
ただし、いきなり大きな課題を解決しようとしてもハードルが高く、解決につながらないケースも多いことから、まずは自社でできる範囲の取り組みからスタートしてみましょう。
たとえば、配送にかかる業務負荷を少しでも軽減するために、荷主と協力しながら配送工程の分担に取り組むことは手軽な方法といえます。
法人など大口契約を結んでいる荷主と個別に交渉することで、ラストワンマイルの改善につなげられる可能性があります。
AIや自動運転、ドローンはラストワンマイルの課題を解決できるか
上記で紹介した配送管理システムや置き配、配送工程の分担、付加サービスの検討といった内容以外にも、ラストワンマイルの課題を根本から解決する方法として最先端技術の導入が注目されています。
具体的には、AIや自動運転、ドローンなどがそれにあたります。
たとえば、AIを活用した配送管理システムは、日々の配送実績データを蓄積することで、自社にとって最も効率的な配送ルートや人員配置を提案できるようになるでしょう。
また、自動運転のトラックやバンなどが採用されれば、人手不足の状況下でもラストワンマイルの配送を滞りなく進めることもできます。
自動運転の社会実装はまだまだ実験段階であり、物流業界の救世主として採用されるには時間がかかりそうな状況です。
しかし、ドローンは2022年12月からレベル4の無人飛行が可能となり、今後の社会実装が現実的なものとなっています。
軽量な荷物であればドローンを活用した配送も十分可能になるでしょう。
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OTSはアパレル・ファッション・ジュエリーに特化したアウトソーシング専門会社
物流業界のみならずメーカーや販売店、EC事業者などさまざまな企業がラストワンマイルの課題解決に向けて取り組みをスタートさせています。
最先端技術を活用した根本課題の解決にはもう少し時間がかかりそうですが、現実的な解決方法として注目されているのが物流業務のアウトソーシングです。
特にアパレルやファッション、ジュエリーといった製品は個人のエンドユーザー向けに販売されることが多いため、配送効率は決して高いといえません。
物流業務のノウハウや知見がない企業ほどラストワンマイルの課題解決に苦労する傾向がありますが、そのような企業は物流業務のアウトソーシング専門会社へ相談してみることがおすすめです。
OTSはアパレルやファッション、ジュエリーに特化した物流アウトソーシング専門会社であり、これまで多くのメーカーや販売店、EC事業者の物流をサポートしてきました。
独自の配送管理システムも提供しており、ラストワンマイルの課題解決に向けてさまざまな提案が可能です。
まとめ
物流業界では深刻な人手不足に陥っており、配送する荷物の量も増加傾向にあることからラストワンマイルの課題解決が求められています。
いかに効率よく荷物を届けられるかを考えることはもちろんですが、再配達の手間を少なくすることもラストワンマイルの課題解決においては重要なポイントといえるでしょう。
自動運転やドローンといったテクノロジーが社会実装されれば、ラストワンマイルの課題も劇的に改善されることが予想されますが、これはもう少し先の将来になるでしょう。
現時点での有効な解決策としては、まずは物流業務を専門としたアウトソーシング会社へ相談し、自社でできることから少しずつ取り組んでいくことが重要です。

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