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「これからの物流を考えてみよう!」(後編)

公開日: : 最終更新日:2023/05/17 ファッション物流, ファッション業界(業界情報), ネット通販, 越境EC

KCDSC_5976_TP_Vおはようございます

物流業界のシュウゾーこと小橋です。

 

 

早速ですが、前回「これからの物流を考えてみよう!」とのお題で前編を書かせていただきました。

物流と言いながら、商流の変化についての内容となってしまいましたが・・・。

 

 

その中でも、この3つについて触れました。

①店舗とECとのボーダレス化 

②新品と中古品の循環型マーケット 

③海外市場への挑戦

 

そしてその実現には、

テクノロジーとの関わりがすごく重要になっている。

・・・ざっとこんな感じでしょうか。

みなさんは、どう思われますか?

 

 

 

さて、そろそろ本業の物流について触れていかないと怒られそうなので・・・

 

 

 

まず、

■「これらの商流の変化にどう対応するか?」

 

 

物流会社が生き残っていくためには、この変化にいち早く対応する必要があると感じています。

 

物流はまさに「ザ・アナログ」。

 

ECはデータ処理により完結しますが、

そのデータを受けて、リアルに商品を棚からピックして梱包し、配送会社に引き渡し、個人宅に届けられる。

 

3Dプリンターなどによってデータ上での瞬間移動でもしない限り、物理的な動きは発生します。

 

 

そして、商流が複雑になればなるほど、物流の難易度もあがります。

 

なかでもテクノロジーの進化への対応は必須です。

WEBなどのカートシステムや販売管理システムとの倉庫システム(MS)の相互連携により、

在庫一元化と、各チャネルへのデリバリーを実現します。

 

 

さらには、アマゾンに代表されるような

配送費の問題やリードタイムの短縮、コンビニなどの拠点配送・・・などなど

消費者から求められるデリバリーのサービスレベルは上がっています。

 

 

BtoBだけ、BtoCだけの単一チャンネル物流と、

在庫をベースにBもCも入り乱れるオムニチャネル物流では難易度は比べものになりません。

 

BtoB物流BtoC物流では、そもそも倉庫内でのオペレーションは”別物”です。

 

それが証拠に、BtoB倉庫がBtoC物流に手を出して、苦労している話はよく聞きます。

逆も同様です。そもそも考え方が違うと言った感じです。

 

それを同時に、それも高いサービスレベルで回すのは、

システム含め業務設計からきっちり構築する必要があります。

 

もしくは、物流現場で働いている人の考え方から変えた方がいいかもです・・・。

 

 

 

—————————————————————————————-

 

ではマーケットの変化や、テクノロジーの進化に

「今後、物流はどのように対応していけばいいか?」

 

 

 

自分の予測としては、大きな二つの流れに集約していくのではと考えています。

 

 

 

そのひとつ目が

「物流の自前化」

 

ふたつ目が、

「物流の共有化」

 

 

 

■物流の自前化

アマゾン、ZOZO、アリババ・・・など、

大手ECプラットフォームは、物流をアウトソーシングすることはないです。

 

むしろ自分たちの強みのひとつとして、儲かったお金を物流に投資し続けます。

 

EC専業だしあまりにも大手なので、ピンとこないかもしれませんが、

物流の専門家として流通を裏側から知れば知るほど、物流は大切だと感じます。

 

更には、

今後変化するマーケットに柔軟に対応するには…

顧客ニーズに応えるには…

自前で物流を持つべきだと断言します!

 

 

 

そのうえで、

物流のロボティクス化やRFIDなどの通信技術の活用は、数億単位での投資が必要となります。

 

物流業の雇用確保の問題は、運用業含め深刻です。

なので、物流の自動化は避けては通れないと感じています。

 

 

 

また、数百億を超えたら物流は自前化を進めるべきだと思います。

 

それも、製造ラインまで遡って、所謂サプライチェーンのレベルで

受注予測も含めて

「Just in Time」…無駄にものを作らない、在庫回転率やプロパー消化率をベースに生産を行う。

まさにIndustrial4.0の世界ですよね。

 

 

 

 

話が大きくなりましたが、

 

結論…

売上規模が数百億を超えたブランドは、

すべての顧客接点において顧客体験を向上させるため、物流を自前化する必要があると思います。

それも、モノづくりの視点(サプライチェーン)から全体を最適化するにも物流の自前化は必須であると考えます。

 

 

————————————————————————————————-

 

 

■物流の共有化

物流の自前化と真逆なのが「物流の共有化」です。

それは、弊社のような3PLの物流会社にアウトソーシングすることを意味しています。

 

どっちなの?・・・・って思われたかと思います。すみません。

 

自社と外部委託との切り分けは、売上規模です。

 

100億以下の企業は、アウトソーシングすることをお勧めします。

 

 

それは昔からアウトソーシングのメリットのひとつとして言われている、

「コアコンピタンスへの集中」との意味合いもありますが、

今回のポイントはそれ以外のメリットです!

 

 

・・・何かと言うと

例えば50億の企業が、1000億の企業と同じレベルの物流サービスを提供するには、

投資の面含めても無理があります。

 

アマゾンのようなサービスを小さなEC店舗が実現するのは、無理ですよね。

 

なので、FBAみたいなサービスがあります。

 

もっとシンプルに言うと、

小さな企業が集まってインフラを共有化し、大きな企業と同等のサービスを提供する!

 

その上で自社ブランドとしての価値を、

「商品力」「販売力」さらには、情報発信で伝えることに集中する。

 

 

 

共同配送などもそのひとつです。

ばらばらに同じところに持っていくなら、

ひとつのところからひとつにまとめて配送する方が、費用も抑えられ効率的です。

 

システムなども個々で別々に作るよりも、共有した方が効率的ではないですか?

まさに「クラウド」の発想です。

 

 

 

でもね・・・・

 

 

この実現はかなりハードルが高いです。

弊社でも100社ほどの企業様の物流をお手伝いしていますので、今のままでは現実的ではないなと感じます。

 

 

それは、それぞれの会社が独自のルールで、独自のシステムで、独自の理解ですすめている・・・・

 

=ファッション業界って・・・「ガラパゴス島のガラパゴス村!」

 

 

 

例えば百貨店展開をされている会社、A社とB社。

どちらも100~150店舗に展開しています。

 

出荷先の百貨店はほとんど同じで同じフロアーです。

 

週2回のデリバリースケジュールも同じ。

取り扱い商品がジュエリーなので、

混載すれば「配送費も下がる!」と考えたのですが・・・・

 

無理でした(涙)

 

 

 

販売管理などのシステムの違いも要因としてあるのですが、

この2社が競合ブランドということが、共有化の失敗の原因です。

 

 

でも、先進的な企業の話を聞きました。

 

 

 

ヨーロッパのブランドなのですが、

複数の会社の物流、人事、総務を

別のひとつの会社が取りまとめている事例です。

 

詳しくは調査中なのでまた別の機会にご報告しますが・・・

どう思われますか?

 

 

 

 

物流の共有化の一番のハードルは品番管理の統一化ではと思いますが、

もしそれが実現した場合には、

RFIDなどの技術も複数社で共有することで中小企業も利用することができます。

 

 

オムニチャネルも、自社サイトやその他モールとの「在庫連動」や「ささげ」などの機能にも多くの投資が必要ですが、

中小企業でこれらのものをすべて自前で準備するのは、現実的ではないと思います。

 

 

もっと深刻な問題として、人材の問題。

 

これまで中小アパレル企業は、企画、生産(MD)、営業、総務、

そこにプレスといった人材はいるのですが

 

システムは外まかせでデジタル面を管理する人材を確保・育成している企業が少ないです。

 

お金も人も少ない中小企業が、

変化する市場、進化するテクノロジーを使ってお客様を喜ばせ続けるのって・・・?

 

 

 

なので、中小企業こそ物流のシェアリングがよいのではと思います。

 

共同でシェアできるサービスを利用しつつ、ブランドとして企業としての差別化を

「物つくり」や「顧客との接点」に集中する・・・

 

それで会社が大きくなったら、いよいよ自社物流を利用するのはどうでしょうか?

 

 

BtoBの百貨店ショッピングモールへの共同配送、

BtoCは倉庫での方面別仕分け・・・共通資材の共有・・・などなど

そこで削減したコストで顧客向けのサービスに回す!

 

よくないですか?

 

この実現には複数の会社の同意が必要です。

今まで自分たちがやってきた物流の考え方を白紙にしてゼロから構築するイメージです。

 

 

ハードル高いですよね。

でもね・・・今のファッション業界、

これまでの慣習や、成功体験を全否定するくらいの覚悟がないとこのままズルズルと悪化する

「ゆでカエル」になっちゃいますよ!!

 

 

 

 

 

以上です。

「これからの物流を考える!」

と言いながらファッション業界にむけての警告のような話で終わってすみません。

 

 

でも、物流会社は荷主が、さらにはその先のファッション業界がよくなることが一番です。

業界の発展のため、物流会社にできることがないかって考えていたら今回の話を思いつきました。

 

 

なのでついつい熱くなってすみません・・・・。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

異論反論・・・いろいろとご意見あると思います。

是非、ファッション業界をよくするために、皆さんの考えを聞かせてください。

 

 

 

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